研究課題/領域番号 |
24360117
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
白樫 淳一 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (00315657)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / 少数電子素子 / エレクトロマイグレーション / スピンエレクトロニクス / 磁性 |
研究概要 |
本研究では、エレクトロマイグレーション(EM)現象を巧みに制御・利用することで、単電子トランジスタの至極簡便な作製および集積化技術の開発を行う。今回、本課題で提案する電界放射電流誘起型EM法とは、ナノギャップ電極に対して高電界Fowler-Nordheimトンネル電流を誘起することでナノギャップ間での原子のEMを発現させ、原子移動に伴うナノギャップ間隔の変動を素子のコンダクタンス変化としてモニターしながら所望のデバイス特性を「その場」制御しつつ単電子トランジスタを形成する技術である。これより、"通電処理のみ"という非常に簡単な手法にて単電子トランジスタの簡易作製技法とその集積化技術の開拓を行い、単電子機能発現・制御手法の確立を目指す。 初年度(平成24年度)では、これまでに我々が提案してきた、数十nm程度のナノギャップを有する電極間に強制的に通電を行うことでナノギャップ電極でのマイグレーションを発現させる「アクティベーション法」の高度化を図った。今回は、多数のナノギャップを直列に接続した状態でアクティベーション法を適用し、各々のナノギャップの電気的特性や構造制御について詳細に検討を行った。 はじめに、電子線リソグラフィーとリフトオフプロセスにより、100nm程度の初期ギャップ幅を有するNiナノギャップを、同一基板上に複数個直列に接続した状態で作製した。次に、これらのナノギャップに対し、100nA程度の電流を通電することによりアクティベーション法を実行した。その後、アクティベーション前後における8個の直列接続型ナノギャップのSEM像から、直列に接続された8個のナノギャップが、アクティベーション後において一様に一括して狭窄化されている様子が明瞭に確認できた。この結果は、これまで報告してきた単一ナノギャップの構造制御の検討結果と同様の傾向であることから、本手法によりさらに多数のナノギャップを同時且つself-regulatedに制御することが可能であるものと示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、"通電処理のみ"という非常に簡単な手法にて単電子トランジスタの簡易作製技法とその集積化技術の確立を目指している。初年度(平成24年度)では、集積化技術の開発を集中的に行い、良好な成果を得ることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度(平成25年度)では、これまでに開発してきた単電子トランジスタの簡易作製技法を、初年度(平成24年度)の成果である集積化技術と融合させ、単電子トランジスタの集積化を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、助成財団からの研究費助成がなされたため、学術研究助成基金助成金を使用せずに研究の実施が可能であった。来年度には、集積度向上のための大出力電源を整備する必要があり、来年度研究費と併せて当該助成金を使用予定である。
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