研究課題/領域番号 |
24360120
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
志村 考功 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90252600)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電気・電子材料 / 作成・評価技術 / エピタキシャル成長 / 半導体 / ゲルマニウム / 格子歪み |
研究概要 |
本研究課題は、局所液相エピタキシャル成長によるGeワイヤ作製法を進化させ、歪み制御した縦型Geワイヤを作製し、縦型歪みGeトランジスタを実現し、次世代の高度情報化社会を担う高速かつ低消費電力の光・電子デバイスへの応用を目指すものである。本年度は、局所液相エピタキシャル成長法により作製した歪みGeワイヤの発光特性の評価と、歪み制御に加えn型ドーピングとSn添加を検討し、Geの電子バンド構造変調と発光特性の向上技術の検討を行った。 局所液相エピタキシャル成長法により作製したGeワイヤについては、成長時と室温でのGeとSiとの熱膨張係数差に起因する約0.4%の引張り歪みが印加されていることを確認していたが、フォトルミネッセンス測定により歪み起因の電子バンド構造変調の評価を行った。その結果、Γ点における直接遷移発光スペクトルが無歪みのGeと比べ90 nmのレッドシフトを示すことを確認した。その温度依存性から、このレッドシフトがΓ点での45 meVのバンドギャップの減少を示していることがわかった。この値は0.4%の引張り歪みから予想される値と一致しており、歪み印加により間接遷移型バンド構造から直接遷移型バンド構造へより近づいたことを示している。 さらにエピタキシャル成長前のアモルファスGe中にP(リン)をイオン注入することによりn型ドーピングを試みた。局所液相エピタキシャル成長後に、ワイヤの電気伝導度測定からP濃度を見積もったところ1E18/cm3であることを確認し、フォトルミネッセンス測定において直接遷移の発光強度がノンドープ試料に比べ大幅に増加することがわかった。 さらに局所液相エピタキシャル成長においてSn添加を検討し、固溶度を超えるSnの添加が可能であることがわかった。直接遷移発光のスペクトルも大幅なレッドシフトを示し、Geのバンド構造が変調されていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り局所液相エピタキシャル成長により作製した歪みGeワイヤの発光特性評価とn型ドーピングとSn添加により発光特性向上を実現できたので。
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今後の研究の推進方策 |
局所液相エピタキシャル成長により作製した歪みGeワイヤの発光特性については不明な点も多くあり、基礎的知見の取得によりその理解を進めると同時にデバイス応用への展開を図る。
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