研究課題/領域番号 |
24360124
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
嘉数 誠 佐賀大学, 工学系研究科, 教授 (50393731)
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研究分担者 |
白石 賢二 筑波大学, 数理物質科学研究科, 教授 (20334039)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電気・電子材料 / 半導体 / ダイヤモンド / 酸化物 / 窒化物 |
研究概要 |
(1)水素終端ダイヤ表面の高濃度正孔キャリア生成機構の解明 水素終端ダイヤ表面にNO2,NO,SO2,O3分子を吸着させるとホール濃度が著しく増加し、金属的な電子物性を示すことが我々によって明らかになったが、本研究では、その超高濃度の正孔生成機構を実験、理論の両面から明らかにすることを目的としている。 a.正孔生成現象のダイヤ面方位、吸着分子種との関連性の実験的検討 極めて高濃度のホールが生成する機構を解明するため、ダイヤ表面の面方位依存性をHall測定したところ、(111)>(110)>(100)という大小関係になることがわかった。これはホール生成がダイヤ表面のC-H結合に関与することを示唆するものである。 b.正孔生成機構の理論の構築 第一原理計算で、水素終端ダイヤ表面に、上記の4種類の気体分子を吸着させると、表面の価電子帯近傍に、電子を収納可能なLUMOまたはSOMO準位が出現し、ダイヤ表面から吸着分子に電子が電荷移動をおこし、その結果、ホールが表面に蓄積することを明らかにした。この成果は国際会議(NDNC, ICDCM)で発表し、SurfaceScienceで論文発表した。また表面科学学会誌で招待論文を執筆した。 (2)分子吸着水素終端ダイヤ表面への絶縁層堆積による正孔伝導層の熱的安定化 少しでも昇温したり、真空引きすると消滅していた水素終端ダイヤ表面のホールを、低温堆積Al203薄膜で熱的安定化できることを見出した。この成果を用いてFETを作製し、実用水準のドレイン電流、遮断周波数、高周波電力を示し、劣化が全くおこらないダイヤFETを作製することに成功した。 この成果はIEEE EDL2件、JJAP2件、結晶成長学会誌招待論文、国際会議NDNC、国内会議2件の招待講演を行った。 今年度は、ダイヤ表面のMOS構造の電子物性測定を行うための、測定装置、デバイス作製装置類を購入し、作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
水素終端FETで高信頼性のMOS構造が作製できるようになり、実用水準の素子特性が得られるようになったことから、当初の計画の目標を越える成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)(a).NO2等の吸着でホールが生成する時間的過程を測定し、機構を明らかにする。 (b)第一原理計算による水素終端ダイヤ表面のホール生成機構を全半導体系に展開する。 (2)構築した容量電圧測定系を用い水素終端ダイヤMOS構造の二次元ホール物性、ホール生成機構、熱的安定化機構の解明を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
結晶成長装置、蒸着装置の配管、電気工事部品、実験消耗品類、測定器の周辺機器類を購入する予定であ
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