研究課題/領域番号 |
24360130
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐野 伸行 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90282334)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電子デバイス・機器 / 電子輸送 / モンテカルロ法 / ボルツマン方程式 / MOSFET / シミュレーション / クーロン相互作用 / ジャンクションレスFET |
研究概要 |
デバイスの立体構造として、最近注目を集めている接合の無いデバイス(Junctionless FET)をモンテカルロシミュレータに新たに導入した。そのうえで、クーロン相互作用のデバイス特性への影響を検討するための準備を進めた。これは、当該構造では良いデバイスオン特性を得るためには、非常に高い電子濃度が不可避になることから、クーロンン相互作用がデバイス特性に顕著な影響を及ぼすことが期待されるからである。そのうえで、新たに雇用した研究員とともに以下の内容の研究を加速して進めた。 (1) 精度良くクーロン相互作用を導入したモンテカルロ・シミュレータを用いて、チャネル電子によるドレイン領域でのエネルギー緩和現象デバイス特性として30%程度抑制することを見出した。 (2) チャネル電子とソース/ドレイン領域に含まれる電子とのクーロン相互作用の素子特性への影響を検討した。チャネル電子濃度が高いことから、チャネル電子を動的に遮蔽する効果(動的なプラズモンの励起)の顕在化を実証した。これは、クーロン相互作用を高精度にシミュレータに導入して初めて観測できる現象である。 以上の得られた結果を取りまとめて、権威ある国際学会(EDISON2014など)および論文において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度から雇用した研究員と協力することで、当初の想定通りに研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
プロセスの簡略化から、接合の無いトランジスタ(Junctionless FET)が注目を集めている。当該デバイスでは高い電子濃度が不可避であるにも関わらず、電子間相互作用を導入したシミュレーションが存在しない。そこで、当該デバイス構造を本研究内容に含めることで、時流に即した研究となるように進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に雇用予定であった研究員の着任時期が遅れたため、次年度使用額が生じている。 雇用している研究員を年度末まで雇用延長するとともに、計算効率の向上のために計算機システムの一部の更新を行う。
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