研究課題
サブテラヘルツ光をサンプルに照射し、巨大な電子スピン分極を核スピンに移行して、NMR測定の感度を向上するためのDNP法を用いたNMR分光技術をサブテラヘルツ波領域で独自に開発し、蛋白質分子の構造解析及び高分子材の表面解析に応用する。本研究では、このための高出力サブテラヘルツ光源として、高周波領域で高効率かつ高出力動作が可能なジャイロトロンの特色を活かして、395GHz帯で安定にCW動作する周波数可変・出力100 W級の二次高調波ジャイロトロンを開発し、照射周波数を最適化することにより、DNP法によってNMR計測の感度を1000倍以上向上させることを目的とする。次に本年度の研究実績について述べる。本研究で開発するジャイロトロンは、最終的に600MHz-プロトンNMR分光装置に装備され、高感度NMR装置を実現するために用いられる。NMRの感度は、ジャイロトロンの周波数に敏感であるため、2 GHz程度の周波数可変性が要求される。このため、独自の方式(特許出願中)をジャイロトロンに導入する。デマウント型ジャイロトロンは構成要素の取替が容易であるため、本目的に最適の構造要素を選択することができる。この結果を基盤にして、最終的な光源として封じきりのジャイロトロンを設計し、外注により製作した。また、ジャイロトロン出力をNMR装置に結合するためには、ガウシアンモードへの変換と高効率伝送系が必須である。これを装備することにより、ガウシアンモードへの変換を容易にし、高効率でNMR装置にサブテラヘルツ光を伝送し、直線偏光したサブテラヘルツ光の偏光方向を制御して試料に照射することにより、NMR分光の感度を格段に向上させることが可能となる。さらに、700 MHz NMR 分光装置の光源として460 GHz ジャイロトロンを2台製作して、周波数変調、周波数安定化を達成した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves
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