研究課題/領域番号 |
24360135
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村田 博司 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (20239528)
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研究分担者 |
塩見 英久 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (00324822)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光変調 / 分散補償 / 電気光学効果 / 光集積回路 / 分極反転 |
研究概要 |
本研究は、研究代表者がかねてから研究を進めてきた"強誘電体の分極反転構造を利用した高速電気光学変調技術"を巧みに利用することにより、高速電気信号一光信号変換(高速光変調)と同時に、光ファイバーの波長分散による波形劣化の補償(プリイコライゼーション)を行うことができる"新しい分散補償光変調デバイス"を開発することを目的とする。本年度は、下記の成果を得た。 (1)分散補償光変調デバイスの構成方法の考察と△-Σ変換による設計 研究代表者が提案している分極反転光変調によるプリイコライゼーション技術を用いたデバイスの設計を行った。まず、標準的な単一モード石英ファイバーを用いた場合について、光波長1.55μm帯においてファイバーの分散による波形劣化の特性を求めた。次に、それによる光波形劣化を補償するためのインパルス応答を定め、対応する分極反転構造を求めた。このとき、高精度な分散補償のために、△-Σ変換の手法を適用して微細な分極反転構造を求めた。また、光変調電極における変調信号の減衰の効果も同時に補償することができることを見出した。さらに、光導波路の構成についても考察を行い、通常のマッハツェンダー型光導波路および二重マッハツェンダー型光導波路の2通りの構成についてデバイスを設計した。 (2)デバイスの試作 設計に基づき、デバイスを作製した。基板には0.41m厚のタンタル酸リチウム結晶を用いた。光導波路の作製にはアニールプロトン交換法を、アンテナ電極の作製にはAl蒸着とフォトリソグラフィーを用いた。 (3)動作実験 試作したデバイスの基本特性評価を行った。GSGプローブとネットワークアナライザを用いて、光変調電極における変調信号の減衰を測定して、分極反転により特性を補償できる範囲にあることを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通り、Δ-Σ変換の手法を適用した分極反転構造の設計を行った。さらに、分極反転構造を用いることで変調信号の減衰効果も補償できることを見出した。これは、当初予定していなかった成果である。動作実験における特性評価には少し時間が掛かっているが、全体としては、おおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、当初計画通り研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
動作実験の際に必要な一部の光学部品の納入が遅れることが判明したために、別途光学材料を購入して自作することで実験を進めた。当該光学部品は、平成25年4月に納入予定であり、納入され次第、引き続き実験を行う。
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