本年度はメタル下地層を用いないペロブスカイトPLZT薄膜成膜方法の検討と、カー効果の確認および光変調特性の実証を目指した研究を実施した。昨年度にAuやNi薄膜を用いることでペロブスカイト結晶純度を達成したが、光吸収損失が大きいためITO透明伝導膜上にPLZT成膜に変更した。ITO、PLZT薄膜の成膜温度とポストアニール条件の最適化により、成膜後がパイロクロア相、ポストアニール後がペロブスカイト相となることががわかった。ほぼ完全に透明なITO/ペロブスカイトPLZTの積層構造作成が初めて可能となった。ただし、従来のベスト条件であったAu薄膜上PLZTと比較すると、パイロクロア残留量が多く、相純度の改善の余地が残されている。さらにその上にパターン形成されたITO透明電極を形成し、電界印可によるPLZT薄膜のカー効果確認を試みた。しかしながら、屈折率変化は観測されず、原因を調べたところ、PLZT薄膜に生じたクラックのために電極間のショートが生じ、電界印可されていないことが判明した。クラック抑制のためには、PLZT成膜温度の変更が必要であることが示唆されている。 その他、光変調器を搭載する予定の大型の近紫外~青色LED素子の発光効率改善に取組め、高反射率電極やナノパターン形成サファイア基板の導入やスクライブ方法の変更により、光取り出し効率を従来の2倍以上に高めることが可能となった。
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