研究課題/領域番号 |
24360144
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大鐘 武雄 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (10271636)
|
研究分担者 |
小川 恭孝 北海道大学, 情報科学研究科, 特任教授 (70125293)
西村 寿彦 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (70301934)
JULIAN WEBBER 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, ATR波動工学研究所, 研究員 (90466425)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 分散ネットワーク / ルーティング / 指向性制御 / USRP |
研究概要 |
本研究は,無線分散ネットワークにおいて,指向性制御を行うことで,近隣の複数のリンクで同時に通信させ,システムスループットを改善させることを目的としている.このような考え方は,主にMACレイヤーで検討されて来たが,我々はネットワークレイヤーで経路制御に応用することで,さらにスループットを改善できる可能性を示して来た.本年度は,汎用ソフトウェア無線機を用いた実証実験に向け,汎用ソフトウェア無線機を2台同期接続することで,各ノードでの2素子指向性制御を可能とした.このとき,汎用ソフトウェア無線機制御ソフトウェアとして,GNU Radioというオープンソースソフトウェアから,LabVIEWという市販ソフトウェアに変更したことで,初年度に困難であった同期制御がようやく実現できた.ただし,汎用ソフトウェア無線機のRF回路の安定度が低く,送受信回路のキャリブレーションが困難であったことから,各ノードのチャネル推定をリンク間で協調して行い,帰還回線はPCを用いて仮想的に実現した.以上のシステムを用い,QPSKシングルキャリア伝送を仮定して,4つのノードが2つのリンクを形成し,最初に通信を始めるプライマリリングでMFに基づく指向性制御を,その後同時に通信を開始するセカンダリリンクでZFに基づく指向性制御を行う実験を,本学大型電波暗室内で行った.その結果,どちらの指向性制御も所期の目標通り達成できたことを確認した.この結果は電気・情報関係学会北海道支部連合大会,および,電子情報通信学会総合大会で発表されている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
送受信回路のキャリブレーションの必要性等の検証が未達成である.
|
今後の研究の推進方策 |
さらに実証実験を進め,2ホップの経路を2つ平行に準備して,同時送受信を干渉の影響なく実現できることを明らかにする.そのために,これまでの4ノードに加えて,2ノード分の汎用ソフトウェア無線機を用意するとともに,実際にパケットを送受信するモジュールを追加する.また,セカンダリリンクの指向性制御において,プライマリリンクとは独立に,かつ,プライマリリンクに影響を与えないよう行うためには,伝搬路の送受可逆性を利用しなければならない.このため,送受信回路のキャリブレーションについて検討する必要がある.
|