研究課題/領域番号 |
24360146
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 聡久 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70360584)
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研究分担者 |
曹 建庭 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (20306989)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳信号処理 / BCI / BMI |
研究概要 |
ブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)は,脳活動を解析し外部機器へのコマンドに変換することで,脳と外部機器との通信路 を実現する技術である.運動想像時の脳波を用いた BCI で は,ユーザがどの身体部位の運動を想像しているかを,生体アンプとADコンバータで記録した脳波から識別する.この BCI における観測脳波から脳活動の特徴を抽出するために,Common Spatial Pattern(CSP)法が 広く用いられている.CSP 法では,識別するクラス毎に,観測脳波のクラス共分散行列を推定する必要がある.そのた めに,脳波を複数トライアル取得し,それらのサンブル共分散行列を加算平均してクラス共分散行列を推定する.しかし ながら,加算平均が外れ値に対して敏感なため,クラス共分 散行列の推定精度を低下させる可能性がある.つまり,共分散行列(2階のテンソル)に対して,トライアルインデックスを導入すると,データは3階のテンソルとして表現できる. 研究代表者らは,この問題に対して,加算平均の代わりにトライアルに重み付き平均を導入することで,外れ値の影響を抑制することを提案した(平成24年度実績). 平成25年度には,トライアルの重みを決定するために,外れ値の影響を評価する関数と,重み付き平均が加算平均の近くに存在することを保証するための関数の和を評価関数として,これを最適化問題として最小化することで決定する方法をさらに深化させた.そのために2つの方法について検討した.1つ目は,問題をl1最適化問題として立式し,それをADMM法で解く方法を示した.2つ目に,誤差がガウス分布に従うと仮定した場合,最尤推定と 2 乗誤差最小化が等価であることに着目し,クラス共分散行列の推 定に必要な計算量を減らしながら,従来法と同等の識別率を達成できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テンソル同時対角化については,高速手法を適用することで達成している.したがって,細かい理論検討と,BCIの実装を残すのみである.
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今後の研究の推進方策 |
現在は2クラスのみの分類であるが,これを多クラス分類に拡張する必要がある.そのために,共分散行列そのものを分類するという方法について検討する.これには,筆者らの論文(Fiori and Tanaka, An algorithm to compute averages on matrix Lie groups, IEEE Transactions on Signal Processing, Volume 57 Issue 12, December 2009, Pages 4734-4743)を適用できると考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
脳波測定実験は、全て研究室内学生のボランティアでまかなった。したがって、謝金支払額が、予定より少なくなった。 倫理委員会の承認を取り、実験被験者に謝金を支払えるようにしたため,主にこれに利用する.これによって、幅広い年齢・性別の被験者をあつめることが可能である。
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