本研究計画は、多数の光信号の変調フォーマットを扱う可能性のある将来の光通信ネットワークにおいて有用な、フォーマットに依存せず信号波形再生や光波長変換、多重形式変換を行うことの出来る光ノード機能の開発とその性能を評価することを目的としている。今年度は以下の成果を得た。 昨年度に引続き、non return-to-zero DPSK(NRZ-DPSK)変調方式の信号をreturn-to-zero DPSK(RZ-DPSK)変調方式に変換する手法の検討を行った。今年度は、NRZからRZへの波形変換とパルス幅圧縮可変を、単一の高非線形ファイバを用いた簡易な構成で実現することを試み、波形変換後のRZ信号のパルス幅を 12 ps から 5.5 psの間で可変して圧縮することに成功し、パルス圧縮に伴う波形再生効果により、これらの変換に伴う信号品質の劣化を抑制した良好な信号変換特性を実現した。 光信号多重形式を変換する手法として、昨年度の光波長分割多重信号から光時分割多重信号への変換とは逆となる、光時分割多重信号を光波長分割多重信号へと変換する手法を、光ファイバの非線形効果のひとつである相互位相変調を利用することで実現し、ビットレート 20 Gbit/s の時分割多重信号を、ビットレート 10 Gbit/s の二つの波長からなる光波長分割多重信号への変換に適用した。 異なる信号変調型式の複数信号の変換を同時に実行することは、フォーマットフリーノードの重要な機能である。強度変調と位相変調(DPSK)を混合したNRZ形式の波長多重信号に対して、光ファイバ中のラマン散乱を用いたパルス幅可変光パルス光源と、光ファイバ中の四光波混合を用いた光波長変換器を組合せることによって、これらの信号を一括してRZ形式の信号に可変する機構を構成し、波長間隔 3.2 nm で配置されたビットレート10 Gbit/s の4波長からなる強度変調と位相変調を混合した信号に対して、信号の変調方式に依存しない良好な変換特性を得ることが出来た。
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