研究課題
本研究では、高分子基板に生体軟組織を接触させ、基板背面から集束超音波を送波して接触断面での反射の強度から体積弾性率・ずり弾性率および粘度などの粘弾性パラメータに変換しイメージングする手法を開発している。平成26年度は、実用化に先立ち課題となる計測上の問題を解決するとともに、技術の工学的、医学生物学的評価を行った。測定精度(ダイナミックレンジ)の向上を行うために、プリアンプの低ノイズ化を行うとともに、波形の平均処理回数を増やした。ずり弾性率の分解能は100 kPa程度、粘性の分解能は0.04Pa・s程度であった。マウスの肝癌組織を縦波・横波の集束超音波で観察するとともに、超音波観察したものと同一の組織を抗体染色して光学顕微鏡で観察し、病理学的に腫瘍組織と判断された病変部が、横波音響インピーダンスの周波数特性から求められた「粘度」にもとづくイメージングで正しくハイライトされたことを確認した。超音波測定に適した試料基板や測定条件など実用化に当たっての問題点を明確にし、共同開発を行っている製造会社に引き継いだ。また、応用展開の一環として、縦波・横波超音波による皮膚の表面観察と、音響インピーダンスによる弾性パラメータの定量評価を行う試みを行った。その結果反射波形の干渉を除去する必要が認められるものの、加齢による老化と縦波音響インピーダンスとの間によい相関が見られた。横波応答は直接ずり弾性率に変換できる利点があるが、干渉が大きく、波形処理の方法を検討する必要があることなどが判った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Ultrasonics
巻: 61 ページ: pp. 79-87
IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation
巻: Volume:2 ページ: pp. 321 - 330