研究課題
本研究の目的は,大規模非線形システムにおける時空間パターン制御の理論と実時間最適化アルゴリズムを構築し,それらを現実の問題に応用することである.具体的な課題は,1) 時空間パターンの安定性と可制御性を解析する方法の解明,2) 時空間パターン制御の実時間最適化アルゴリズム開発,3) 並列計算やプログラム生成など時空間パターン制御の実装環境開発,4) スマートグリッドにおける需要誘導や反応拡散系におけるパターン形成に対する時空間パターン制御の応用,である.平成26年度には,実時間最適化アルゴリズムの応用に関する研究が進展した.たとえば,電力系統において電力価格を操作量として需要と供給を変化させ,発電機の回転周波数を安定化させる問題に関しては,送電制約や発電機応答遅れを考慮した実時間最適化によって拘束条件を満足しつつ負荷周波数制御が可能なことを示した.さらに,再生可能エネルギーの供給も考慮した問題設定を行い,評価関数を適切に選ぶと,再生可能エネルギーを同一エリア内で消費するだけでなく他エリアにも分配し,社会全体で再生可能エネルギーの恩恵を受けられることを示した.その他,高度下水処理施設の生化学反応を考慮した大規模モデルの制御,タイヤ力の飽和と荷重移動を伴う四輪車両の操舵制御,横転しかけた四輪車両の安定化,自動車エンジンの回転数制御にも実時間最適化アルゴリズムを適用し,アルゴリズムの有効性を示した.また,数式処理を用いた自動コード生成に関しては,ソフトウェア会社と共同で従来とは異なる数式処理言語によるツールを開発し公開した.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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