研究課題/領域番号 |
24360169
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鳥居 和之 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (50115250)
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研究分担者 |
桝谷 浩 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (20157217)
宮里 心一 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (60302949)
久保 善司 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (50324108)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分級フライアッシュ / PC橋梁 / PCa製品 / 塩分浸透抵抗性 / ASR抑制効果 / ポゾラン反応 / 地産地消 / 産学官連携 |
研究概要 |
平成24年度に実施した研究成果は,以下の4つに項目に大別できる。 (1)分級フライアッシュの製造技術の確立とその品質保証 石川県の七尾大田火力発電所と福井県の敦賀火力発電所よりそれぞれ年間約3万トンの分級フライアッシュが製造(全体の発生量の約10%)できる体制が整い、分級フライアッシュの物理的性質(平均粒径:7μm)や化学成分・鉱物組成(シリカ質ガラス成分:70%以上)の特徴、そのポゾラン反応性とコンクリートの工学的諸性質(ワーカビリティ、強度発現性)の改善効果との関係を明らかにした。また、北陸地方における汎用セメントとして、分級フライアッシュの置換率15%が最適であるとした、コンクリートの標準的な配合を提示した。 (2)分級フライアッシュを使用したコンクリートの塩分浸透抑制効果およびASR抑制効果 分級フライアッシュを使用したコンクリートは、ポゾラン反応が早期に進行し、緻密な内部組織が形成されるので、コンクリートの塩分浸透性やASRに対する抵抗性が大きく向上できることを明らかにした。 (3)分級フライアッシュを使用したコンクリートの温度ひび割れ抵抗性 分級フライアッシュを使用したコンクリートは、セメントに対する置換率に比例して水和熱が減少するとともに、初期強度の発現が高炉セメントコンクリートなどと比較して良好であるので、マスコンクリートの温度ひび割れの危険性を大きく改善できることを明らかにした。 (4)分級フライアッシュのプレストレストコンクリート(PC)への適用性 実際のPC桁の載荷試験を実施した結果より、分級フライアッシュを添加したPC桁はプレストレス損失量、曲げ耐力および荷重分散性において早強セメント単味のものと遜色がないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、産学官連携による「北陸地方におけるフライアッシュのコンクリート有効利用促進検討委員会」(委員長:鳥居和之(金沢大学))および金沢大学サステナブルエネルギー研究センター(RSET)の支援を受けており、フライアッシュコンクリートの普及を目的にした,2回の研究成果報告会を平成24年度に開催するなど,当初の計画どおり、十分な研究成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
分級フライアッシュのコンクリートへの有効利用は、全国的にも注目されており、平成25年度には研究成果の公表と北陸地方以外の他の機関との意見交換並びに情報交換を積極的に推進するとともに、フライアッシュコンクリートの講習会やフォーラムを平成25年度も金沢市と福井市とで2回計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、藻場再生や環境保全事業への分級フライアッシュの活用を念頭に入れたポーラスコンクリートの事業展開を石川県輪島市や地元の建設会社などと共同で推進する予定である。
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