研究課題/領域番号 |
24360171
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 光 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60242616)
|
研究分担者 |
山本 佳士 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70532802)
上田 尚史 関西大学, 工学部, 助教 (20422785)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 火災 / 耐火性能 / 爆裂 / 材料劣化 / 鉄筋 / 数値解析 / 剛体バネモデル / トラスモデル |
研究実績の概要 |
数値解析手法による高度な耐火構造性能照査を可能にする手法の開発を行うことを目的として、以下の成果を得た。 (1)火災時爆裂シミュレーション手法の開発:昨年度はコンクリートのみを対象とした手法を、鉄筋を組み合わせた手法に拡張を行った。拡張した手法は、鉄筋の熱伝導と熱膨張による内部応力の発生を考慮できる手法である。また、開発した手法でコンクリート構造物の解析を行い、RCスラブの爆裂挙動や帯鉄筋を有する柱部材の爆裂挙動を鉄筋の影響を考慮しながらシミュレートすることを可能にした。 (2)爆裂現象への影響メカニズムの把握:実験により、コンクリートの形状(コーナーエフェクト)、鉄筋、水分状態が爆裂挙動に及ぼす影響を確認した。爆裂には従来あまり注目されていなかった水分分布状態の影響が大きいことを明らかにし、爆裂メカニズムの要因である蒸気圧の評価が重要である結果を得た。一方、解析的には拘束効果の影響を評価し、拘束の程度の相違により温度応力と蒸気圧の影響程度が異なることや爆裂深さにも影響することを見出した。 (3)火災時および火災後耐荷性能評価手法の開発:高温加熱を受けるコンクリートおよび鉄筋の温度依存型構成則の導入に成功し、火災時および火災後の高温加熱による材用劣化を考慮した耐荷力評価手法への適用を可能にした。RCはり部材に手法を適用し、手法が有効であることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析手法の開発という観点では、25年度に目的としたモデルの構築と導入は行えた。ただし、連続的な爆裂現象のコード開発が若干予定より遅れている。一方、実験的な検討は、電気炉を利用して各種要因の影響を検討するとともに、水分分布の影響評価の重要性を新たに見出すなど、当初想定していなかった新たな知見も得られた。以上のことから、おおむね順調と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
数値解析については連続的な爆裂現象の解析が可能になる点をまずは重点的に行う。その他については、当初の予定通りに進める。実験については、要素レベルの実験を積み重ね、各種要因の影響評価を行う。また、数値解析と比較しながら、各種要因の影響メカニズムを明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
電気炉を購入して行う予定としていた実験の進展が遅れたことと、当初予定していた国際会議に参加しなかったためを助成金が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
使用計画としては、実験を行うに当たり必要となる付属的な部品の購入と、国際会議論文を既に投稿し出席予定となっているので旅費での支出を計画している。
|