研究課題/領域番号 |
24360172
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
氏家 勲 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (90143669)
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研究分担者 |
岡崎 慎一郎 独立行政法人港湾空港技術研究所, 構造研究領域, 研究官 (30510507)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コンクリート / 鉄筋腐食 / 透気試験 / 現場試験 / 劣化予測 / 含水率 |
研究概要 |
本研究は塩害と中性化によるコンクリート中の鉄筋腐食に着目し、実構造物での測定の容易さに優れる透気試験を取り上げ、現場透気試験から求まる透気係数と含水率の関係より、鉄筋腐食開始時の評価などに必要な塩化物イオン拡散係数および中性化深さの進行の評価に必要な中性化速度係数を得るための点検方法を開発することを目的としている。 平成25年度は透気係数と含水率の関係において塩化物イオン拡散係数および中性化速度係数を求めるための補助線の関数や評価可能範囲など設定に関して検討行った。 かぶりコンクリートの密実性の評価に関して、透気係数と含水率の関係を直線とみなしてその勾配(以下、透気含水勾配と呼ぶ)を用いることにより、含水率の影響を排除して評価できることを提案した。中性化促進試験より得られた中性化速度係数は養生条件や水セメント比に関係なく透気含水勾配とよい相関関係があることが見いだされ、実構造物での透気含水勾配の測定から中性化速度係数の評価が可能であるといえる。一方、電気泳動試験より得られた塩化物イオンの実効拡散係数と透気含水勾配の関係は水セメント比の違いによる評価は可能であったが、養生方法の違いによって同じ透気含水勾配であっても異なる拡散係数となった。これは電気泳動試験による実効拡散係数の測定に問題があることと長期的な空隙構造の変化に初期養生が影響することを示唆する結果であり、非常に興味深くこれまで指摘されていなかった新たな知見が得られた。 以上のように中性化速度係数を得るための点検方法については予定通りの進捗状況であるが、塩化物イオンの拡散係数については浸漬実験などから拡散係数を測定して再評価する必要がある。また、透気係数と含水率の関係を直線とみなすことに関してはCTスキャンに基づいた数値解析の観点からも検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、中性化速度係数の評価に関しては予定通りの進捗状況である。しかしながら、塩化物イオンの拡散係数に関しては当初に予定してこととは異なる結果が得られた。この点については電気泳動による拡散係数の測定に検討を加えることで対応を図る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度において得られた新たな知見に関する課題を追加して検討する以外は当初の予定通り平成26年度研究計画を実施する。 引き続き大型供試体および実構造物に対して提案する点検方法を適用して、データを蓄積する。大型供試体ではH24年度より適宜中性化深さを調べ、大型供試体の中性化速度係数を求めて評価値と比較検討する。大型供試体と一緒に作製している小型供試体(10×10×40cm)を用いた海水浸漬実験を行って塩化物イオン拡散係数を求めて評価値と比較検討する。空隙構造モデルの数値計算に関しては、CTスキャンから得られた空隙の3次元配置と連続空隙径のデータから、数値解析のためのFEMモデルを構築し、支配方程式を変えて透気と拡散の物質移動現象を数値計算する。さらに含水率の変化を再現した数値計算を行い透気係数と含水率の関係を実測データと比較検討する。 平成26年度は最終年度であるので、全ての結果を取りまとめて、透気係数による新しい点検方法を提案する。
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