研究概要 |
本研究は,トンネルや橋梁などの土木構造物に内在する材料亀裂や劣化・損傷を数理的アプローチによって,評価するためのシステムを開発するものである.ここでは,逆均質化法トポロジー最適化という新しい数理的アプローチによって,微細亀裂の幾何学的配置や劣化・損傷したミクロ構造の物理定数を同定できるマルチスケール非破壊検査法の開発を目的とするものである. 当該年度は,初年度ということもあり,基本プログラムの環境設定をおこなった.ここでは,研究分担者である中畑の波動伝搬解析プログラムを基本として環境設定を実施した.また,数値計算量が膨大となることから,京都大学のスーパーコンピュータも活用しながら,数値シミュレーションを実施した.これらの計算環境のもと,当該年度では異なる亀裂パターンを想定した波動伝搬解析を実施し,亀裂の深さを同定する評価式の提案を行った.これについては,学術論文に投稿するために準備を行っている. また,これとは別にトポロジー最適化のためのプログラムの構築を実施した.これは次年度に実施するマルチスケールトポロジー最適化の理論とプログラム開発の準備となるものである.現段階では,概ねミクロ材料の剛性を制御するためのアルゴリズムの開発に成功し,プログラムへの実装をおこなった.ただし,基本的に計算量が膨大であるため,プログラム作成時でさえも比較的長い待ち時間が生じるなど作業の効率化を図る必要があるものと思われる. なお,理論や手法の妥当性に関しては,京谷,寺田によって検証されているものの,更なる検証が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,建物設備の問題があり,仕方なくクラスターマシンの導入を見送った.これにより,プログラム作成の作業に支障をきたしたが,京都大学のスーパーコンピュータを極力活用することでこの問題を極力回避する.
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