研究課題/領域番号 |
24360180
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
川谷 充郎 神戸大学, 工学研究科, 教授 (00029357)
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研究分担者 |
金 哲佑 京都大学, 工学研究科, 教授 (80379487)
野村 泰稔 立命館大学, 理工学部, 助教 (20372667)
何 興文 北海道大学, 工学研究科, 助教 (20454605)
杉浦 邦征 京都大学, 工学研究科, 教授 (70216307)
大西 弘志 岩手大学, 工学部, 准教授 (70283728)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地震防災 / 耐震設計 / 高架橋立体解析 / 車両走行安全性 / 大規模計算 |
研究概要 |
本研究ではこれまでの研究成果を踏まえ,車両が高架橋を走行中に大規模地震が発生する事態を想定し,三次元解析モデルを用いた車両一橋梁一周辺地盤連成系の地震応答シミュレーション手法を構築し,実橋梁における車両載荷下の起振機実験結果を用いてその妥当性を検証して,包括的な交通荷重一橋梁一地盤連成システムの耐震性能評価手法を確立する.その手法を駆使し,地震時高架橋の耐震性能および車両走行安全性の評価を行い,強地震動に対しても変位制限を満たす高架橋耐震補強工法および制震工法の提案を目指し,列車脱線や自動車転覆防止などの車両走行安全性への有効性について検討する. 初年度は以下の成果を得た.1)大規模地震時における三次元走行車両一橋梁一地盤連成系の非線形動的解析手法の開発車両と橋梁との連成モデルに地盤との相互作用モデルを導入し,数値計算による大規模地震動下の走行車両一橋梁一地盤連成系の非線形動的応答解析手法を開発した.これまで研究代表者が開発してきた解析プログラムにより振動系車両走行状態を解析してきたが,汎用動的解析プログラムでの振動系車両のモデル化に取り組むことにした.地盤との相互作用モデルは地盤条件および杭基礎構造特性による影響の大きいことが分かった. 2)地震応答解析手法の妥当性検証a)実橋梁における車両載荷時加振実験よる検証:実橋梁における起振機実験結果との比較より,開発した手法の妥当性を検証した.b)汎用プログラムによる解析結果との比較:非線形構造解析が可能な汎用動的解析プログラムを用い,振動系車両無しでの高架橋の地震応答解析結果より,地盤条件により車両質量の高架橋の線形・非線形地震応答に及ぼす影響が異なることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記すように,交付申請書に記載した「研究実施計画」の内,1)大規模地震時における三次元走行車両一橋梁一地盤連成系の非線形動的解析手法の開発,および2)地震応答解析手法の妥当性検証についてはほぼ計画通りに進捗しているが,3)スーパーコンピュータを用いる並列計算手法の開発については,コンピュータ能力の向上から現状では解析可能であり,並列計算の取り組みに至らず,"(2)おおむね順調に進展"の評価としている.
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記す研究実施計画に基づき以下のように2年目3),3年目4)と進める.なお,前項「現在までの達成度」に記すように並列計算手法の開発については2年目も取り組まない予定とする.これは研究手段であり,研究目的の達成には支障の無いものである. 3)大規模地震動による三次元走行車両―橋梁―地盤連成系の非線形動的応答解析の実施 大規模地震が発生する場合,車両が載荷されている区間においても橋脚の断面力が最大耐力を超えないこと,また,車両運行上の制約のため,橋脚天端の残留変位が基準値を超えないことおよび支承の応答反力が支承の耐力を超えないことを検討する.また,合理化によりねじり剛性あるいは横方向剛性の低下する橋梁の耐震性能も検討する.また,地震時における大型自動車の走行安全性および新幹線列車の脱線メカニズム,さらにモノレール車両載荷時の軌道桁の挙動について検討する. 4)現象解明による耐震補強対策および車両走行安全対策への提案 大規模地震時における交通荷重作用下の高架橋の耐震性能を明らかにし,より安全かつ合理的な橋梁耐震設計の実現に提言を行う.橋梁一走行車両連成系の地震による挙動を解明し,橋脚の鋼板巻きやダンパー・ブレース材等による耐震補強対策工法の有効性を解析的に明らかにする.また,MRダンパーのようなセミアクティブ制御技術を用いた高架橋と車両連成系への制震効果についても検討する.さらに,現象解明により初めて可能となる車両脱線・転覆防止ための新たな耐震・制震対策の提案を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度の使用予定の内,計算機使用料の必要が無くなり,パソコンを購入し,残金を新年度始まってすぐの研究発表旅費に使用予定とした. 旅費22万円(前年度の残額22.1万円):構造工学シンポジウム参加・発表(4月20-21日),他. 物品費:パソコン45万円.パソコン関連物品55万円 旅費150万円:11th Int'l Conf. on Structural safety & Reliability (ICOSSAR2013), New York, USA, June 16-20, 2013および7th Int'l Symposium on Steel Structures (ISSS-2013), Jeju, Korea, Nov. 7-9, 2013.に参加.土木学会全国大会年次学術講演会(東京)に参加.研究打ち合わせ(札幌一神戸).人件費・謝金70万円:研究補助,データ整理補助. その他80万円:解析プログラムソフト. 研究実施状況により変更有り.
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