研究概要 |
本研究では,橋軸方向にフレキシブルで橋軸直角方向に耐震壁を有するフレキシブルRC橋脚の耐震性能照査法を縮尺模型実験および有限要素解析より提案し,供することを目的としており,平成24年度には5体の縮尺模型を用いて加力実験を実施した. 既往の実験では供試体に対して軸力を載荷しない状態で水平方向に単調載荷を行っていたが,今回実施した実験では軸力を載荷した状態で水平方向に交番載荷を行っており,軸力および交番載荷が当該橋脚の水平耐力や終局状態にどのような影響を与えるかについて調査した.実験ケースとしては,軸力を加え水平方向に単調載荷したケース(1体)と軸力を加え水平方向に交番載荷したケース(4体)とし,供試体が終局状態に至るまで載荷を行った.これまでの実験より得られた知見を以下に整理する. (1)各供試体の破壊性状については,水平曲げひび割れから斜めせん断ひび割れに進展しコンクリートが圧壊しており,単調載荷,交番載荷ともに,柱のせん断破壊と曲げ破壊の中間的な破壊性状を呈した. (2)骨格曲線における第1剛性と第2剛性は,軸力ありの交番載荷の方が高い.第3剛性は,軸力なしの単調水平載荷の方が高い. (3)交番載荷時の終局変位は単調載荷時に比べると55%程度に減少しており,靱性に大きな差が生じた. (4)横方向鉄筋量の異なる供試体の破壊性状の比較から,柱帯鉄筋量,壁横方向鉄筋量を増加させることにより,最大耐力の変化は見られなかったが,曲げ降伏後の変形性能(靱性)は改善されることが確認された.
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