研究課題/領域番号 |
24360182
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松田 浩 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20157324)
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研究分担者 |
濱田 秀則 九州大学, 工学研究院, 教授 (70344314)
伊藤 幸広 佐賀大学, 工学系研究科, 教授 (90223198)
藤垣 元治 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (40273875)
才本 明秀 長崎大学, 工学研究科, 教授 (00253633)
森田 千尋 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60230124)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光学的計測法 / ひび割れ劣化診断 / 内視鏡 / 劣化環境インパクト / 応力解放法 / デジタル画像相関法 / 3Dレーザースキャナ / レーザードップラ速度計 |
研究概要 |
構造物健全性診断に必要となる空間的に分布したミクロからマクロに至るまでの劣化・変状を容易に取得する計測法として、最先端計測技術と解析技術を融合することで、高度な工学的判断の一助となるようなミクロ~メゾ~マクロレベルでの劣化健全度診断法を確立することを目標として研究を進めた。研究成果を以下に示す。 (1)ひび割れ劣化診断・補修システム:RC構造物のコンクリートの表面ひび割れの発生状況およびひび割れモニタリング装置を開発した。さらに、内視鏡を用いて内部ひび割れやひび割れ補修材充填状況を直接管理できるシステムを開発した。 (2)PC桁現有応力および溶接残留ひずみ分布:カメラタイプ全視野計測装置を用いた現有作用応力計測手法の実証実験を重ね、PC構造物の検査・診断への活用法について検討した。さらに、鋼構造部材の溶接部に発生した微細き裂もデジタル画像相関法を用いて検知できることを確認するとともに、有効利用法について検討した。 (3)劣化環境インパクト評価:構造物の劣化環境の定量的な評価方法を検討するために、3次元写真計測による耐候性鋼橋梁の外観評価に関して検討し、また干満環境で12年暴露後のPC矢板の劣化状況を調査した。 (4)実振動計測による橋梁の構造特性同定と遠隔劣化損傷点検手法の開発:橋梁の構造振動同定法として時刻同期を取ったレーザードップラ速度計(LDV)を用いた計測方法を確立し、PC橋および鋼橋の構造振動特性を明らかにした。また、3Dレーザスキャナと無人飛行機(UAV)を連動させた計測システムを開発し、インフラ構造物の遠隔劣化損傷点検手法の開発を行った。近接固有値を有する橋梁構造物の振動特性推定法を検討した。 (5)光学的計測法の体系化・標準化:建設分野における光学計測の体系化を図るため、(1)き裂を有する石こうのひび割れ発生・進展、(2)薄肉円筒シェルの初期不整を考慮した座屈実験・解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の欄に記載しているように、〔雑誌論文〕26件、〔学会発表〕33件の研究成果があり、「研究の目的」、および「研究実施計画」に基づいて、(1)ひび割れ劣化診断・補修システム、(2)PC桁現有応力および溶接残留ひずみ分布、(3)劣化環境インパクト評価、(4)実振動計測による橋梁の構造特性同定と遠隔劣化損傷点検手法の開発、(5)光学的計測法の体系化・標準化に関する研究を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
「劣化環境インパクト評価」の研究を遂行するために、走査型電子顕微鏡による腐食生成物の微視的な観察を実施し、異なる環境条件下で生成した腐食生成物の微細構造の違いを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
3Dレーザスキャナと無人飛行機(UAV)と全方位カメラを連動させた計測システムを開発し、インフラ構造物の遠隔劣化損傷点検手法の開発を行なう。これまでに3Dレーザースキャナによる軍艦島の3Dデジタル画像化に成功しており、30号棟アパート(大正5年建設)を対象として捕捉計測のため上空から実地計測を行なう。
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