研究概要 |
H24年度では,新たに4連式の吸水量測定用差圧計付きビュレット管パネルを製作し,既設の「高鉛直圧(500kPa~10000kPa)・標準口径(直径60mm)供試体用膨潤圧・膨潤変形特性試験装置」に接続し,水分拡散係数データが比較的取得されている国産のクニゲルV1を用いて,実験方法の妥当性を確認した.具体的には,既往の測定結果(遠藤さち恵,小峯秀雄らの第9回環境地盤工学シンポジウム発表論文等)と比較し,妥当であることを確認した.そして,代表的な4種類の粉体状ベントナイト試料を用いて,上記の吸水量測定実験を行い,算出される水分拡散係数のデータ・ベースの基本形・プロトタイプを構築した.また,今回製作した4連式吸水量測定用差圧計付きビュレット管パネルでは,実際の処分施設における地下水圧相当の圧力を負荷できるように,二重管ビュレットとして設計・製作を行った.この機能を活用し,実処分環境を模擬して,0~0.7MPaの範囲で地下水圧を負荷した状態での吸水量の経時変化を測定し,種々の拘束圧,地下水圧条件における水分拡散係数データの取得を開始した.現段階のデータでは,地下水圧の値に依存せず,水分拡散係数の値は,材料仕様条件に応じて一定であることが示唆される.これについては,次年度以降の測定データに基づき,その再現性を確認の上,精査した結論を得る予定である以上の実験的検討により得られたデータに基づき整理した結果,いずれも水分拡散係数も,初期乾燥密度による影響は小さいことが推察された.次年度以降は,より多くの実験条件での水分拡散データの取得を進め,データの再現性を確認するとともに,測定データの変動幅を詳細に調査し,測定精度を考慮した水分拡散データの使用方法を検討する.
|