研究課題/領域番号 |
24360187
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
長田 昌彦 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00214114)
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研究分担者 |
竹村 貴人 日本大学, 文理学部, 准教授 (30359591)
橘 伸也 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (90432567)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地盤工学 / 大深度地下 / 地層処分 / 不飽和 / 乾燥湿潤変形 |
研究実績の概要 |
本研究の最終的な目標は、飽和から不飽和へ、不飽和から飽和状態への堆積岩中の水分移動に伴う変形を定式化することである。このような挙動に関する実験データはあまり多く存在していないため、これまで各種堆積岩に対する乾燥変形実験を実施してきた。その結果、ある程度乾燥変形挙動を定量的に表現できることがわかってきたが、まだ多くの課題が残されている。 例えば、乾燥変形挙動の定量化における残された課題の一つとして、モデルに用いる弾性係数の大きさの問題がある。多くの場合、弾性波速度測定などから求めた弾性係数をそのまま用いることができず、1/3程度小さな値を用いないと飽和度と収縮ひずみ量が整合しない。これに対し本年度の検討では、堆積岩は最終的には引張クラックを発生するような応力レベルまで変形が進むことから、微小領域の変形係数ではなく破壊に至るまでの変形係数を考慮すること、また圧縮応力場ではなく引張応力場での変形係数を考慮することによって、この課題を解決できる見通しが得られた。 乾燥に伴い変形が生じる逆の現象として、本年度は岩石の水浸実験にも力を注いだ。多くの試験から、水浸に伴い間隙空隙圧が発生することを示し、その発生過程は時間の平方根に比例する傾向にあり、間隙空気圧の発生が濡れによる水分移動を主要なメカニズムとしていることが暗示された。 その他、乾燥クラックを生じるような問題に対処するため、模擬材料としてスターチを用いた実験、岩石のクリープ変形と乾燥変形の分離を考慮するための荷重下における乾燥変形実験を開始している。また堆積岩の異方性を表現するために、田下凝灰岩を対象とした弾性波速度測定によるファブリックテンソルを決定し、これらと乾燥変形挙動との関連についても検討している。 これら一連の研究に対して、国際岩の力学会(ISRM)からFranklin Lecture賞を頂いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで多くの実験結果が得られており、多くの学会発表を行ってきたが、国内学術雑誌や国際誌への掲載が遅れている。昨年度国際岩の力学会(ISRM)からFranklin Lecture賞を頂き、その原稿と発表準備に多くの時間を割いたこと、また投稿していた国際誌への原稿が残念ながら不採択となったことが原因である。 平成27年度は最終年度として、できる限り多くの投稿を試みる所存である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は最終年度として、これまでに開始してきた実験を完了させるとともに、4年間の集大成として、論文での発表を進める。また最終報告書を作成し、得られた研究成果と今後の課題を取り纏めるつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の前年度未使用額に対して大幅に改善したつもりではあるが、2年目より計画しているスイス・モンテリ地下研究所への海外出張が延期となっているために、今年度にも未使用額が生じている状況である。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度であり、平成27年度にはスイス・モンテリ地下研究所への海外出張を計画し、これまでの成果を踏まえ、将来的な国際共同研究に進展させるよう努める所存である。
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備考 |
昨年度所属が変更になった関係で、未だ新しい環境でのweb公開に至っていない。最終年度でもあり、次年度にはwebによる公開を図る予定である。
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