研究課題
本研究は,塩害による沙漠化抑止と修復の技術提案を通して,地盤工学の地球環境問題への積極的な寄与を目的としている.過伐採,過放牧,塩害が沙漠化の三大要因であり,全体の約8 割を占めている.森林などの植生伐採に伴う気圏・地圏間の水循環の狂いが原因である.特に塩害による沙漠化は,地下水中の希薄な塩分が高濃度化して地表に析出することにより生じ,ユーラシア大陸などの大陸の広範囲な地域で発生している.このような塩害による沙漠化メカニズムを表現できるFE シミュレータを開発し,さらに,環境負荷の低減を可能とするPS 灰や浄水場汚泥のリサイクルによる粒状材料などを活用できる塩害抑止工法を開発した.具体的には,1. 土・間隙水・間隙空気の3相連成の数理モデルに溶解塩分の移流拡散を組み込み,水収支の狂いによる塩分析出の有限要素(FE)シミュレータを開発した.2.タイ東北部における塩害および地盤変状を対象に,その発生を数値シミュレーションした.特に,降雨データと気象データに基づく蒸散を入力として,地表面に析出する塩害の発生メカニズムを解き明かした.3.塩害抑止の技術的可能性として,粒状性材料を用いたマルチングを検討し,PS 焼成材,浄水場排出焼成材などのリサイクル材活用の道を拓いた.また,単なるマルチングでは耕作地などの土地利用を阻害するため,マルチング材に覆土をかぶせた改良型マルチングを検討し,有効なマルチング厚を具体的に試算した.さらに,土地利用を妨げず,対策コストを抑えるために,マルチングを部分的に配置する塩害対策法を検討した.最後に,塩害が発生している地盤の散水浄化の効果を定量的に検討した.これらを本年度(最終年度)において,高度化と総合化を行い,地盤工学を構造物の設計や施工に役立たせるだけでなく,農学,理学との相互補完型の学際連携を可能とし,地球環境問題への積極的な貢献をはたせる道を拓いた.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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