研究課題/領域番号 |
24360197
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
渡邊 康玄 北見工業大学, 工学部, 教授 (00344424)
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研究分担者 |
安田 浩保 新潟大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00399354)
吉川 泰弘 北見工業大学, 工学部, 助教 (50414149)
木岡 信治 独立行政法人土木研究所, その他部局等, 研究員 (20414154)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 結氷河川 / 津波遡上 / アイスジャム / 不定流計算 / 個別要素法 / 氷板衝突 / 氷板破壊 / 氷板漂流 |
研究概要 |
次に示す要素研究A, B-1, B-2およびタスク2, 3に取り組み,得られた成果について取りまとめを行い成果の発表を行った. ○要素研究A「結氷河川における波状長波の圧力伝播の解明(渡邊,吉川)」;流れと波の共存場での水理実験結果の解析により,氷板が固定されている場合には,開水時に比べ圧力電波が早くなるものの,浮遊状態で存在する場合には開水時よりも遅くなることを明らかにした.また,鉛直方向流速成分は津波到達時の短時間のみ顕著であるが,1次元の不定流計算でもある程度再現可能であることが明らかにした.○要素研究B-1「河川津波よる氷板破壊の統計モデル(吉川)」;東日本大震災時に撮影された写真の画像解析による氷板のサイズ,厚さ,強度の確率分布算定結果を基に,氷板の分断サイズの推定関数を導出し,津波遡上時におけるアイスジャムの現象解明への基礎資料を得た.○要素研究B-2「氷板の衝突と集積の物理過程の解明(木岡)」;人工海氷を用いた中規模実験に個別要素法(DEM)による数値実験を適用しその妥当性を確認するとともに様々な形態をとる,氷板の衝突・破壊と集積の物理過程について検討できる基礎的ツールを開発した.また,模型氷を用いた水理模型実験実施し,氷の集積状況ならびに構造物への作用力等について検討を行った.○タスク-2:河川津波によるアイスジャムの機構解明(渡邊,吉川) 河川津波によるアイスジャムの機構解明として,水理模型実験結果を再現する氷板漂流モデルを構築し,水理模型実験との比較から高い精度で現象を再現できることを確認した. ○タスク-3:氷板漂流を伴う河川津波の氾濫流の挙動解明(渡邊,吉川)氷板漂流を伴う河川津波の氾濫流の機構解明を行うため,タスク-2で構築されたモデルを2次元に拡張するとともに,2次元氾濫水理実験を再現するモデルの構築を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目的達成のための各要素研究である,結氷河川における波状長波の圧力伝播の解明,河川津波よる氷板破壊の統計モデル,氷板の衝突と集積の物理過程の解明については,目標どおり平成25年度までに完了している.また,最終目的であるタスク-1「氷板を伴う河川津波に耐性を有する水門設計法の開発」に関してはその一部となる河川津波波力減勢工に関しての検討がすでに終了している.またタスク-2「河川津波によるアイスジャムの機構解明」に関しては,すでにアイスジャムの機構に関して検討を終了しているとともに再現可能なモデルの開発が終了している.さらに,「氷板漂流を伴う河川津波の氾濫流の挙動解明」に関しては,2次元氾濫水理実験を再現するモデルの構築が終了している.以上のことから,本研究はおおむね順調に進展していると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
タスク-1「氷板を伴う河川津波に耐性を有する水門設計法の開発」を引き続き進展させるとともに,一連の成果を一体化し,結氷河川への津波遡上に関する被災シナリオを作成するとともにこれに対する減災計画の立案を行う.
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