研究課題/領域番号 |
24360199
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研究機関 | 愛知工科大学 |
研究代表者 |
安田 孝志 愛知工科大学, 工学部, 教授 (10093329)
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研究分担者 |
吉野 純 岐阜大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70377688)
村上 智一 独立行政法人防災科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (80420371)
下川 信也 独立行政法人防災科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (40360367)
飯塚 聡 独立行政法人防災科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (40414403)
川崎 浩司 名城大学, 自然災害リスク軽減研究センター, 特任教授 (20304024)
小笠原 敏記 岩手大学, 工学部, 准教授 (60374865)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高潮災害 / 台風災害 / 地球温暖化 / 高潮氾濫 / 被災限界 |
研究概要 |
温暖化によって今世紀末までに三大湾に起こり得る最大級高潮とそれに伴う暴風雨・暴浪の発生条件・確率の解明に加え,これらによる建物等の被害の評価・予測を目的に研究を実施し,研究計画に基づく以下の成果を得て「研究発表」に記載する数多くの論文発表と国内学会や国際会議等での発表を行った. 1.本研究において開発した台風渦位ボーガスを組み込んだ大気-海洋-波浪結合モデルを用い,三河湾においては湾の長軸方向に最強風をもたらす危険コースで台風が来襲する場合以外に,これまで危険度が低いと考えられていたコースで台風が来襲する場合であっても湾水振動を誘導させて計画潮位を上回る最大級の高潮が発生することを明らかにした.2.伊勢湾台風級の台風が大阪湾に様々なコースで来襲する台風環境場を作り出す手法を開発し,大阪湾での可能最大級高潮について検討を行い,既往最大である室戸台風による3.1mを超える3.3mの高潮が発生することを示し,これが現在気候での大阪湾の可能最大級高潮となることを明らかにした.3.氾濫域が広大となる高潮氾濫解析を効果的に行うための準3次元海域流動と平面2次元氾濫流動の結合モデルを開発し,水理実験結果との比較によってその有用性を明らかにした.これによって,可能最大級高潮による氾濫解析を効果的に行うことが可能となった.4.高潮氾濫による建物被害評価を行う上で必須となる氾濫流体力と建物被害の関係を明らかにするため,東北地方太平洋沖地震津波による建物被災の状況把握分析を行い,街区スケールにおける建物被災分布型を5種類に分類することによって被害評価に必要な建物脆弱性の面的評価の可能性を示すことができた.5.その他研究課題に関わる研究を幅広く進めることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目的およびこれまでの成果を広く一般の方に知って頂くため,昨年度に引き続き,平成25年9月30日に蒲郡市民会館にて,代表者と分担者以外に外部講師も加え,「愛知工科大学シンポジウムin蒲郡-温暖化の現状と未来,三河湾に来襲する台風・高潮への影響と備え-」を開催した.400名近くの参加者を得,新聞等でも広く報道され,これまでの成果と今後に大きな期待が寄せられた.特に,蒲郡市の稲葉市長にはシンポジウムの最初から最後まで聴講頂き,防災行政に益することが多いとの評を得た.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の根幹となる三大湾可能最大級高潮の予測手法が完成し,それによるシミュレーション結果に基づく可能最大級高潮の実体解明も進み,さらに高潮とそれによる氾濫解析を一体的に行うための結合モデルの開発もほぼ完了したので,今後は氾濫による建物被害の予測手法の開発が課題となる.被害予測についても東日本大震災津波災害などの過去の被災事例を基に進みつつある.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を発展させるために必要な情報収集とハイパフォーマンスコンピュータの点検等が必要である. 研究費助成期間終了後も研究を発展させるため,国内外からの情報収集と本研究の推進に決定的役割を果たしているハイパフォーマンスコンピュータの点検と性能アップに関わる費用に使用予定である.
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