研究分担者 |
中山 哲嚴 独立行政法人水産総合研究センター, 水産工学研究所, 部長 (40372065)
浜口 昌己 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所, 主幹研究員 (60371960)
矢田 崇 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, グループ長 (80372043)
武若 聡 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (80202167)
|
研究概要 |
本研究では,海洋生物(水産有用種)の生活史初期に着目し,それらの加入過程と海洋変動との関係を『海洋変動モデル&モニタリングシステム』『海洋生物加入過程実態計測』を組み合わせることで把握,汽水域・浅海域高次生態系に与える海洋変動影響を抽出して,それを環境影響評価に繋げることを目指している.今年度は,初年度であることから,本研究で対象種としたチョウセンハマグリ,シラスウナギそれぞれに対して,まずは生活史初期の『加入過程実態計測手法』の開発・検討を行った.このうち,チョウセンハマグリに対しては,浮遊幼生のミトコンドリアDNAの全長情報から、他の二枚貝種との判別に相応しい領域を選定し、Dual-labeled probeを設計,これを用いて茨城県によって種苗生産されたチョウセンハマグリ浮遊幼生の発育段階別のDNAの変化等を検討し、野外試料を分析するための定量化システムを構築した。さらに、チョウセンハマグリ等の高精度遺伝子マーカーを開発するための基礎的情報を収集するとともに、一部、分析を開始した。一方,シラスウナギについては利根川河口域への加入挙動についての海流の影響を解析する準備として、地元の試験研究機関・漁業協同組合ならびに漁業者の協力の下、生理的指標の解析に供するシラスウナギ来遊個体を定期的に採集する体制を構築し、一部ではあるが加入個体数と水温・塩濃度のデータを入手した。また予備的サンプリングを実施し、得られた試料を用いて、ストレスや栄養状態等の生理状態を反映する遺伝子について、定量解析が可能であることを確認した。一方,『海洋変動影響モデル&モニタリングシステム』については,鹿島灘を対象とした流動モデルを構築,チョウセンハマグリ浮遊幼生の分散シミュレーションを2010年,2011年の夏季~秋季を対象に実施,海流や海上風が浅海域のチョウセンハマグリ幼生の分散過程に与える影響を検討した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,海洋変動が浅海域・汽水域高次生態系へ与える影響を対象種(チョウセンハマグリ,シラスウナギ)の加入過程と海洋変動の関係から把握することを第一の目的としている.これを推し進めるために,初年度は両対象種の実態計測手法を開発・検討,モデル&モニタリングシステムの構築・稼働を目標としていたが,それが概ね達成できたため.
|
今後の研究の推進方策 |
初年度で,チョウセンハマグリ,シラスウナギの生活史初期の加入過程の実態計測手法が開発・検討されたので,2年目以降はそれを用いた実態計測を実施し,海洋変動と加入プロセスの関係把握を推し進める.
|