研究課題
本研究は、交通手段の共存性を検討する上で最も必要とされているにもかかわらず研究蓄積の少ない共存性評価システムを開発し、これを用いてパーソナルモビリティの共存計画論を構築することを目的としている。本年度は、共存性分析システムの構築と共存代替案への適用を目的とし、以下の知見を得た。第一に、自転車用に開発した共存性チェックリスト(Bicycle Compatibility Checklist)の基本構造はそのままパーソナルモビリティ用に転用することが可能であり、個別のチェック項目を該当するパーソナルモビリティの特性に応じて変更することで活用できることを確認した。その具体的な適用を図るため特殊自転車であるタンデム自転車とスポーツサイクルの走行特性に関わるデータを収集した。第二に、WEB意識調査を実施し、このデータを用いてパーソナルモビリティの交通環境満足度と共存方策を検討した。この結果、高齢社会に伴って増加が予想されるシニアカーや新しい乗り物であるセグウェイなどのパーソナルモビリティの受容性は、歩道や車道のどちらにおいても高くはないこと等が判明した。第三に、心拍変動を用いて異なるモード間のストレス分析手法を開発することを試みた。歩行者・自転転・自動車という異なる交通モードが混在する場合のストレスを検討した結果、異なる交通モードと混在している状況の方が、同一交通モードのみの状況よりストレスが大きいという結果が得られた。第四に、以上を通じて、個別の共存性評価手法(共存性分析ツール 満足度分析 ストレス分析 PMCC)を再検討し、新しいパーソナルモビリティの共存条件を求める汎用的な共存性分析システムを確立するための準備を整えた。
2: おおむね順調に進展している
目的1「多様化するパーソナルモビリティの挙動特性と共存性の論点を明らかする。」に対しては、セグウェイやタンデム自転車、スポーツサイクル、小型電動原付等に関する多くの知見を得ている。目的2「新しいパーソナルモビリティの共存条件を求めるための汎用的な共存性分析システムを開発する」に対しては、個別の共存性評価手法(共存性分析ツール、ストレス分析手法)を精緻化することができたが、満足度分析やPMCCを合わせた汎用的な共存性分析システムの構築までには至っていない。この理由は、人々に全く認知されていない新しいパーソナルモビリティに関する意識調査(満足度分析)には限界があることによる。しかし、概ね準備を終えた個別の共存性分析手法(共存性分析ツール、ストレス分析、PMCC)とWEB意識調査結果を組み合わせることによって、シニアカーやセグウェイ等の代表的なパーソナルモビリティに関しては、目的3「パーソナルモビリティの共存計画論を構築する」は可能と考えるため、概ね順調に進展していると判断した。
本年度は最終年度であるため、これまでの研究成果をパーソナルモビリティの共存計画論として総合的に取りまとめる。具体的には、代表者が提唱してきた「共存計画論」と「道路構成コンセプト」に従って、以下を検討する。特に、歩行者・自転車・自動車に留意しパーソナルモビリティのために中速帯を活用する可能性を検討する。(1)道路の断面と構造を、道路端(路型)を利用するタイプ、自転車道の一方通行化のタイプ、シェアードレーンのタイプ等に着目して検討する。(2)ネットワーク構成の可能性を探るとともに、不可能な場合には利用エリアを限定することを検討する。特に、幹線・補助幹線・生活道路を利用したネットワークやエリア限定利用(Zione30等の生活道路を想定)などが考えられる。(3)報告書として取りまとめる。
平成25年度の目的であった汎用的な共存性分析システムの構築については、本年度継続して検討を行う予定である。このため、経費を節約して次年度へ回すことを考えた。シニアカーなどのパーソナルモビリティの共存性を検討するための共存性実験における被験者謝金として使用する予定である。
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照明学会誌
巻: Vol.98、No.4 ページ: 190-193
土木計画学研究・講演集
巻: Vol.49 ページ: CD-ROM
巻: Vol.48 ページ: CD-ROM
道路
巻: No.867 ページ: 20-24(依頼論文)
巻: Vol.47 ページ: CD-ROM
土木学会四国支部技術研究発表会講演概要集
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土木学会論文集D3 (土木計画学)
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巻: 通巻869 ページ: 58~62