研究課題/領域番号 |
24360206
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
森地 茂 政策研究大学院大学, 政策研究科, 特別教授 (40016473)
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研究分担者 |
日比野 直彦 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (10318206)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 都市鉄道経営戦略 / 少子高齢化 / 人口減少 / 年齢階層別人口 |
研究概要 |
本研究は、これまで実施してきた人口構造の変化が都市鉄道に及ぼす影響に関する研究成果を踏まえて、人口減少・少子高齢社会においても地域が推定せず、都市鉄道が持続していくために、沿線の人口構造の変化とその要因を明らかにするとともに、多世代居住・鉄道沿線型コンパクトシティの実現に向けた対応策を提案することを目的としている。 平成25年度は、これまでに東京都市圏を対象として行ってきた分析の結果を踏まえ、既に少子高齢及び人口減少下にある京阪神都市圏を対象とし、同様の分析を実施した。具体的には、1980年~2005年の国勢調査の1kmメッシュの年齢階層別人口データを用いて、京阪神都市圏(2府4県:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県)における鉄道路線・沿線別の年齢階層別人口の時系列変化をグラフ化し、その特徴を視覚的に把握可能にし、各路線・沿線別の特徴について分析した。さらには、通勤・通学利用など鉄道輸送人員に大きく影響する生産年齢人口の変化や就業者数の変化に着目し、年齢別人口・生産年齢人口・就業者数の変化が鉄道輸送人員に与える要因について明らかにした。人口構造の変化に路線別の差異が生じる要素として、社会移動の違いが大きいことが明らかになっている。駅前マンションへの転入や郊外団地の流出などと言うように、社会移動を決定する居住地選択には距離の視点が重要である。従って、路線別の分析だけでなく距離(都心からの距離、最寄駅からの距離)の視点も要素に加えて分析を進めている。 また、居住地選択の要因を定量的・構造的に明らかにする目的で、統計モデルを用いた居住地選択モデルの構築を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、都市鉄道沿線の人口構造の変化とその要因を明らかにするとともに、持続可能な多世代居住・鉄道沿線型コンパクトシティの実現に向けた対応策を提案することを目的としている。現在までに、東京都市圏に加え、京阪神都市圏(2府4県:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県)における路線別の人口構造の変化の特徴および鉄道輸送人員の変化に与える要因について明らかにしている。 対象地域の鉄道路線・沿線別の年齢階層別人口の時系列変化をグラフ化し、その特徴を視覚的に把握可能にしたことにより、各路線・沿線別の特徴を明らかにした。さらに、通勤・通学利用など鉄道輸送人員に大きく影響する生産年齢人口の変化や就業者数の変化に着目し、年齢別人口・生産年齢人口・就業者数の変化が鉄道輸送人員に与える要因について明らかにしたことは、平成25年度の大きな成果である。これらを通して、人口構造の変化に路線別の差異が生じる要素として、社会移動の違いが大きいことが明らかになっている。 また、今年度に公表された2010年の国勢調査の市区町村別の社会移動データを活用し、近年における状況についても分析を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
居住地選択の要因を定量的・構造的に明らかにする目的で、統計モデルを用いた居住地選択モデルを構築し、地価・距離・住宅の種類・沿線ブランドなど居住地選択に寄与する要因について分析を行う予定である。さらには、沿線自治体や鉄道事業者が実施している子育て支援施策等の施策が居住地選択にどの程度寄与するか分析を行い、持続可能な鉄道経営を実施する上での対応策を提案する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の発表のタイミングにより、平成26年度にその論文投稿料、旅費等を繰り越すことになった。分析の進捗と発表する学会のスケジュールによるものであり、分析そのものには大きな遅れが生じている訳ではない。 平成26年度に、学会発表および論文投稿を行う予定であり、繰り越した研究費は、これらおよび研究補助の謝金に充てる予定である。
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