研究課題
本年度も、昨年度に引き続き、凝集沈澱処理を実施している全国の浄水場にご協力を頂き、送付された水道原水(環境水)にヒト水感染症ウイルスを添加して人工原水とし、この人工原水を用いてバッチ式凝集処理実験を行うことにより、ウイルスの処理性について詳細に評価することを試みた。昨年度にノロウイルスの挙動を大まかに掴むことに成功したため、本年度は、昨年度に引き続きポリオウイルスの処理性評価を継続するとともに、昨年度に確立に成功した定量法(プラック形成法(PFU法)ならびにRT-PCR法)を用いてアデノウイルスの処理性評価を開始した。また、大腸菌ファージMS2及びφX174のヒト水系感染症ウイルスに対する代替指標としての有効性についても議論した。その結果、従来から広く用いられる塩基度50%のPAClを用いた凝集沈澱処理におけるアデノウイルス及びポリオウイルスの除去率は、PFU法にて評価した場合、それぞれ0.1~1.4 log程度、0.5~2.4 log程度となることが分かった。また、PACl-50s,alum,FeCl3等を用いた場合に比べ、硫酸を含まない塩基度70%のPAClを用いた場合、高いウイルス除去率が得られることが示された。さらに、ウイルス粒子の表面疎水度及び凝集剤によるウイルス不活化への感受性の差異により、MS2の除去率は、ヒト水系感染症ウイルスの除去率よりも大きくなる傾向にあったのに対し、φX174の除去率は、それらと同程度、あるいは低くなる傾向にあったことから、φX174がヒト水系感染症ウイルスの凝集沈澱処理性を評価する上で有効な代替指標と成り得る可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Water Science and Technology: Water Supply
巻: 14(3) ページ: 429-437
10.2166/ws.2013.218