研究課題/領域番号 |
24360214
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
李 富生 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (10332686)
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研究分担者 |
山田 俊郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30335103)
川口 倫由 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教 (70467215)
李 文瀚 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 講師(研究機関研究員)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 放射線物質 / 水道水安全 / 浄水処理 / 活性炭吸着 / 高度水処理 / セシウム |
研究概要 |
放射線物質汚染地域の一部の水道水からセシウムが検出されている。この問題は森林や農地に固着されたセシウムが降雨や融雪に伴って水道水源に流入することから長期化になると推測され、水道水の安全を図るには、浄水処理システム内での対応が何よりも重要になる。本研究は、高度浄水処理の中核を担うのは活性炭吸着プロセスに着目し、回分式吸着実験と固定層吸着実験を通じて、活性炭によるセシウムの吸着能を診断し、それに与える活性炭性状、pH、共存金属イオン、フミン質などの影響を明らかにするとともに、セシウムの活性炭細孔内での吸着形態と分布形態に対する評価も合わせて、吸着機構を明らかにすることを目的としている。 平成24年度では、セシウムを添加した河川水を供試水とし、3種類の石炭系活性炭による回分式吸着実験と固定層活性炭吸着実験を行い、セシウムの吸着容量特性と破過挙動をそれぞれ検討した。また、吸着実験による実験結果を細孔測定機器による活性炭の細孔分布の測定結果とゼータ電位測定機器による活性炭ゼータ電位の測定結果と関連付けて検討し、セシウムの吸着除去性に与える活性炭性状(主に活性炭の細孔分布とゼータ電位)の影響を評価した。その結果、活性炭によるセシウムの吸着除去性はフミン質に体表される水中天然有機物より小さいこと、3種類の活性炭によって大いに異なること、マイクロ孔(0.35~1.0mm)の細孔表面積が大きい活性炭ほどセシウムの吸着量が高いこと、活性炭のゼータ電位との関連性が小さいことなどが明らかになった。 さらに、水中懸濁物質によるセシウムの固着特性、水中生息微生物によるセシウムの蓄積特性について、三春ダム貯水池の底泥を用いたセシウムの吸着実験と三春ダム貯水池底泥及び伊勢湾海域底泥からそれぞれ単離・増殖させた微生物種によるセシウムの蓄積実験をそれぞれ行い、底泥粒子によるセシウムの固着容量とそれに対する水温やpHの影響、淡水域及び海域に生息している微生物種によるセシウムの特性能力の相違を定量した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に対応して、研究を遂行するとともに、実施段階で重要と考えるようになった、セシウムの懸濁物質による固着特性、水域生息微生物による摂取などの蓄積特性についての実験研究も行った。
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今後の研究の推進方策 |
活性炭によるセシウムの吸着除去特性に関する研究を実施計画に対応して実施するとともに、水域に生息している微生物によるセシウムの蓄積能力とその相違を明らかにする。
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