研究課題/領域番号 |
24360215
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水野 忠雄 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00422981)
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研究分担者 |
越後 信哉 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70359777)
西村 文武 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283636)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | オゾン / 水処理 / 反応特性 / 反応組込型流動モデル / 有機物分画 |
研究概要 |
昨年に引き続き主に、反応特性に焦点を当てた評価を継続した。回分式の装置を用いたオゾン処理実験では、実験回数を増やし、より高精度な評価を取り入れることによって、反応初期に急激に消費されるオゾン量がオゾン注入率によってほぼ異ならないことを示した。また、ラジカルスカベンジャーを添加することにより、初期に急激に消費されるオゾン量が36~72%低いことを示した。オゾン曝露量およびオゾン消費量に対するヒドロキシル(HO)ラジカル曝露量を検討したところ、対象水によっては、オゾン注入率の範囲の違いはあるものの異なるオゾン注入率でも同程度の結果が得られる場合があることを示した。この時、同程度の臭素酸イオンの生成量が確認できたことから、これらの指標の重要性が確認できた。しかしながら、初期のオゾン消費量の結果が昨年度の結果と異なる部分もあることから、初期の急激な反応についてはより詳細な実験データを得ることが重要であると考え、反応初期1~数秒におけるデータの取得が可能となる装置の開発を行い、ほぼ確立に至っている。 また、促進酸化処理(AOP)についても、HOラジカルの生成量と臭素酸イオン生成量の観点からオゾン処理との比較を行った。半回分式の実験では、AOPにおいて高いHOラジカル生成量と臭素酸イオンの抑制が確認できた。一方で、連続系では、HOラジカル生成量は想定通り高かったが、反応槽の種類によっては臭素酸イオンについてもAOPで高いという結果となり、反応系の流動特性が促進酸化の処理性、特に臭素酸イオン生成量に大きく影響する可能性を示した。 現在、反応については、逐次型の反応モデルの開発も行っており、これらの確立とモデルを用いた反応性の評価を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
もともと、単なる実験結果の提示のみならず、反応機構などに立脚した評価を目指しているため、深く検討すればするほど、興味深い現象などが見受けられるため若干の発散があるとは認識している。そのために「やや遅れている」との自己評価とした。しかしながら、本研究外として今後検討すべき課題の抽出にも役立っており、また本研究をまとめるにあたっての焦点についても明らかとなりつつあるため、最終年度においては、加速度的に成果をあげられるものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
申請時に挙げている各実験系のデータの有用性・限界性、独自性・相互性・補完性の評価および実験系間の比較については、詳細な逐次反応モデルとうまく連携させて、時間短縮を図るとともに、より反応機構面からの評価を加えていく。 反応組込型オゾン接触槽流動モデルに関しては、まず単純なオゾン分解を導入したモデルの早期確立を図るとともに、HOラジカルの反応を組み込んだモデル、最終的には各種反応を逐次反応として組み込んだモデルへと順次高度化させる。これらを用いて、最終目標であるオゾン水処理技術の体系化を目指すとともに、実プラントへの適用などを通じて、最適制御の達成や新たな反応装置開発につながるように進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
単なる実験結果の提示のみならず、反応機構などに立脚した評価を目指しており、今後にもつながる興味深い現象などが見受けられるため、当初予定よりも回分式装置を用いた評価に焦点を当てるなど機器、必要試薬類が少なくて済んでいる。 必要試薬類の購入、研究成果発表の充実による旅費使用、実処理上の調査などを通じた実態をより熟知するために必要となる旅費による支出を見込んでいる。
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