研究概要 |
近年、住宅を中心に、軽量床衝撃音遮断性能向上の観点から表面を従来以上にやわらかくした床が急速に普及してきた。これらの床では、動作した際従来の床にはない「ぶよぶよする」,「ぐにゃぐにゃする」といった特異な感触が感じられ、その影響で歩行感が著しく悪い点が大きな問題となっている。本研究は、床表面の変形性状が感触、さらには歩行感にどのように影響するか、そのメカニズムを把握するとともに、床の動的変形挙動の妥当かつ体系的な測定,評価方法を確立し、さらに歩行感,床衝撃音のいずれの観点からも要求性能を満たす床を開発するための知見を提示することを目的とする。 平成24年度は、以下の手順にしたがって検討を進め、人間の動作時の床の動的変形挙動、特に微少荷重領域における床表面の変形性状から特異な感触が感じられるメカニズムを明らかにした。 (1)特異な感触が感じられる床を含む30種程度の床を、試料床として製作した。 (2)40名程度の検査員を用い、(1)で製作した試料床を検査試料として、各試料床上で歩行などの動作をした際の心地よさに関する官能検査を実施し、心理学的尺度を構成した。 (3)踵の先端と床との衝突を含む短時間かつ高速な微少荷重領域での床表面の動的変形挙動を、2台の高速度カメラでの撮影画像から面的に把握できる解析装置を用い、(1)で製作した試料床上で人間が歩行などの動作をした際の床表面の変形性状を測定,把握した。 (4)(3)で測定,把握した床表面の変形性状と、(2)で構成した心理学的尺度との関係から、特異な感触が感じられるメカニズムを明らかにした。
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