研究課題/領域番号 |
24360239
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50293494)
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研究分担者 |
坂口 淳 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (90300079)
白石 靖幸 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (50302633)
鍵 直樹 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20345383)
三田村 輝章 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (10406027)
篠原 直秀 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50415692)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ダンプネス / 室内環境 / 健康損失 / 因果構造モデル / 建築的防除 |
研究概要 |
日本や欧米諸国では,幼児や児童のアレルギー性疾患が増加傾向にある.既に,児童のアレルギー症状や呼吸器疾患の発症には居室等のダンプネス(湿度が高い)な状態が関連する可能性が高いことが指摘されている.住宅のダンプネスと喘息やアレルギー症状などの健康影響との因果関係を考える場合,湿気自体が直接影響するのではなく,生物・化学的な要因が健康に直接寄与していると考えられる.このようなダンプネスから健康に連鎖する因果構造が解明できれば,防除のための方策を優先的に選択することができると期待される.こそで本研究は,我が国にダンプネス問題がどの程度の世帯で存在し,健康面の損失としてどの程度のインパクトして見積もることができるのかを明らかにするとともに,その防除策の優先順位を提示することを目的としている.当該年度は以下の研究項目について取り組み,研究の成果を得た. (1)国内外の文献調査:国内外での既往研究をレビューし最近の知見と今後の課題をまとめた.研究グループが蓄積している文献データベースを充実させた. (2)ダンプネスの評価と因果構造モデル構築のための調査:住宅のダンプネスの程度を評価するための指標を開発するために,実測調査とアンケート調査を行った.ダンプネスの程度は,結露・カビの発生強度と頻度に対する自己申告に基づいており,それと物理環境との整合性を検証した.また,ダンプネスの発生に関する5,000世帯規模のアンケート調査を実施し,ダンプネス問題の発生率を示す基礎的データを得た. (3)Dampness の発生条件に関する数値解析:因果構造モデルの構築に資するデータを得るために,居室が高湿度状態や結露発生に至る諸条件を定量的に明らかにするための数値シミュレーションを計画した.本研究では,建物の断熱性能や換気状況,室内での湿度発生などをパラメータとした解析を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダンプネス程度を評価するための指標を検討し,居住者の自己申告による評価値と実測調査による物理環境とに関連性が認められることを確認した.この結果を踏まえ,全国調査を実施し,ダンプネスと健康影響との関連性を評価するための因果構造モデル構築のためのデータを得ることができた.次年度では,因果構造モデル構築に向けて数値シミュレーションの結果ならびに調査データの分析を行うと共に,同様の全国調査を計画し,時間的先行性の評価を行う.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画の通り,これまでに得られた全国調査のデータに基づき,ダンプネスによる健康損失を評価するための因果構造モデルを構築するとともに,因果関係を明確にするための時間的先行性の評価を行う.さらに,これらの検討結果を踏まえ,建築的防除のメニューを整備し,ダンプネス問題に対して,優先的に取り組むべき方策を系統的に整理する.
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