研究課題/領域番号 |
24360240
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
岩田 利枝 東海大学, 工学部, 教授 (80270627)
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研究分担者 |
吉澤 望 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (40349832)
望月 悦子 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (80458629)
平手 小太郎 東京大学, 工学研究科, 教授 (70165182)
宗方 淳 千葉大学, 工学研究科, 准教授 (80323517)
明石 行生 福井大学, 工学研究科, 教授 (10456436)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 節電 / 実態調査 / 必要照度 / 省エネルギー / 消灯 / 変動照明 / 不均一照明 / 被験者実験 |
研究概要 |
本研究では2011年の大地震から引き起こされた電力不足によるオフィスの節電実態の記録を残すとともに、そこからオフィス照明の基本要件を抽出し、省エネ照明手法の開発を行う。 24年度は前年から継続して節電オフィス照明の実態調査を夏季に関西、関東で実施した。建築学会、照明学会の協力も得て、管理者・執務者アンケートの継続調査を全国規模で実施し、オフィス執務室の照明の節電実態を分析した。管理者アンケートの結果を基に各節電手法についてシミュレーションを行い、エネルギー削減効果を条件別に示した。これら結果の一部は日本建築学会環境系論文集等で公表している。 調査から得られた省エネルギー手法として、不均一照明、変動照明、昼光照明をとりあげ、次年度以降の準備を含め予備実験・調査を行い、以下の知見を得た。 不均一照明については実オフィス空間でのアンケートおよび実測調査を通して、アンビエント照明の空間的不均一性の許容範囲を確認し、不均一性の指標として変動係数の有効性を明らかにした。また快適で省エネルギーなタスクアンビエント照明システム開発のため、高齢者の眼球内散乱光を配慮した間接照明方式の天井吊り下げ型アンビエント照明器具を試作した。このアンビエント照明には演色性向上のために白色LEDに赤色LEDを加え、適正混光比を実験により求めている。 変動照明については、一日を通して常時一定の照明環境より、夕方にかけて照度を低下させることで、執務者の作業効率の低下を緩和できることを示した。タスクアンビエント照明に連続調光を取り入れた実験も行い、執務者の知覚や不満から適切な調光パターンについて検討を行っている。 昼光照明については不快グレア抑制制御ブラインドを用いた天井照射型昼光利用アンビエント照明を提案した。年間シミュレーションを行い、ブラインドスラット反射率等の影響を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体にほとんど計画通りの進展となっている。24年度計画の節電環境におけるオフィス光環境の実態把握調査は順調にデータを収集し、一部は既に査読論文として公表している。また、エネルギー削減効果の検討、執務者に許容される基本要件の抽出についても成果を学会発表している。光環境の質の確保に関わる実験の準備についても、時刻変動、空間的不均一ともに各分担研究者が準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
25年度も当初の計画通り、(1)オフィス節電照明実態調査に加え、省エネルギー手法として(2)不均一照明、(3)変動照明、(4)昼光照明をとりあげ、質の確保(最低要件抽出)とエネルギー削減効果の検討を行う。これら(1)~(4)は分担した形で行い、25年度末から26年度のエネルギーシミュレーション、基準の作成・提案に向け統合を図る計画になっている。
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次年度の研究費の使用計画 |
助成金の直接経費次年度使用額が発生したのは、当初「その他」として予定していたLED測定に伴う機器(照度計、色彩照度計、輝度計、色彩輝度計)校正費がメーカー側の協力で予定より低く抑えられたことと、データ整理に伴う「謝金」が次年度分となったことによるもので、研究には影響がなかった。「謝金」はそのまま25年度に使用し、「その他」もソフトのバージョンアップや論文投稿料として使用する予定なので、使用内訳の変更はない。
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