1.領域気象モデルによる上空風の再現性の検証と標準上空風データの整備 前年度までの研究で、領域気象モデルWRF(Weather Research and Forecasting)は、適切な物理モデルと計算条件を設定すれば、実現象を高い精度で再現できるとの結論を得ていたため、今年度はその物理モデルと計算条件を用いて、関東地方を対象とした過去7年間分の解析を実施した。その解析結果に基づき標準上空風データベース(上空の風配と風向ごとのワイブル係数データベース、風速の鉛直分布のべき指数)を整備するシステムを作成した。データベースの水平範囲は首都圏をカバーする100km×100kmの領域とし、1kmメッシュで整備することとした。また上空の風配や風速の発生頻度を種々検討した結果、上空高さ(基準高さ)は地上200mに決定した。このデータベースはまだ公開していないが、日本風工学会「都市の風影響評価研究会」で検証作業が終了次第、webで公開する予定である。
2. 屋外拡散実測と拡散風洞実験ならびにCFD解析結果の比較 今後風洞実験やCFD解析を都市の大気環境影響評価に活用していくためには、屋外実測との比較検証が必要と考え、東京工芸大学厚木キャンパスを対象としたガス拡散の屋外実測、風洞実験、Large Eddy SimulationによるCFD解析を行った。3者の結果は非常によく一致し、風洞実験やCFD解析は十分、都市の大気環境影響評価に活用できるとの結論を得た。また風洞実験における相似則についても確認し、実現象を精度よく予測するために風洞実験で注意すべき事項を明らかとした。
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