研究課題/領域番号 |
24360248
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
樋本 圭佑 京都大学, 防災研究所, 助教 (90436527)
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研究分担者 |
大宮 喜文 東京理科大学, 理工学部, 教授 (10287469)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 火災 / 消防 / 都市計画・建築計画 / 建築環境・建築設備 / 防災 |
研究概要 |
本研究では,火災安全工学の知見を活用することで,三項道路指定に伴う付帯的防火規制の工学的な検証手法を整備することを目的としている.平成25年度は,以下の4課題について検討した. (1) 軒下火炎による隣棟間の延焼危険性を評価するための模型燃焼実験: 軒を含む建物外周部の模型を作製し,軒の下方からバーナーの火炎を衝突させることで,軒下火炎による延焼危険性を評価するための実験を行った.軒断面形状,バーナー形状・設置位置,火源規模といった条件を変えながら,軒下部および軒材料表面の温度分布や軒への入射熱流束,火炎長さなどを計測した. (2) 建物内部の火災拡大条件を評価するための実大燃焼実験: 隣接する2区画からなる幅6200mm×奥行き3100mm×高さ2500mmの実大規模模型を利用した燃焼実験を行い,片側の区画で発生した火災が隣接する区画に延焼する条件を調べた.また,上部高温層の厚みを考慮した区画間放射伝熱モデルを作成し,着火時間の予測を行えるようにした. (3) 防火基準上の既存不適格率に関する実態調査: 新たに京都市内の3地区を対象とした建物外観調査を実施した.これに建物規模や階数などの情報を加えて,各地区の町丁・字単位の既存不適格率を推定した.この結果を住宅土地統計調査のいくつかの指標と比較することで,既存不適格率の推定手法について検討を加えた. (4) 東北地方太平洋沖地震の記録に基づく地震時出火確率のモデル化: アンケート調査より明らかとなった東北地方太平洋沖地震の出火記録をポアソン分布に回帰することで出火確率モデルを作成した.従来使われることの多かった両対数モデルに比べて,より小さな空間スケールを対象に,地域特性を反映させた出火推定を行えるようにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
模型実験は,おおむね当初の計画通り進めることができたが,実験結果を用いたモデルの整備には依然遅れがある.ただし,出火確率のモデル化は,当初の計画以上に進展させることができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進め方に大きな変更はない.来年度は実験結果の整備と,それを用いたモデルの整備に重点を置く.
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次年度の研究費の使用計画 |
少額の未使用額については,不必要に全額消費することを避けた. 前年度未使用額は次年度の国内旅費などに充当する.
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