研究分担者 |
岡本 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10292278)
菊池 伸明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80436170)
島津 武仁 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教授 (50206182)
柳原 美廣 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40174552)
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研究概要 |
本計画の最終目標は,ナノサイズNdFeB単結晶粒子の挙動を調べることにより磁化過程を解明し,NdFeB磁石の保磁力が理論値の10%程度のとどまる理由を明らかにすることである. 本年度は,上記目標達成に必要な基礎技術の確立に注力した.具体的には,NdFeBのエピタキシャル薄膜成長技術と微細加工時の試料ダメージ低減技術の確立,さらにはNdFeB磁石粒子の磁化ダイナミクス計測に必要な大振幅高速パルス磁場発生装置の改良を試みた. 薄膜成長技術に関しては,MgO(001)単結晶上に成長させたMo(001)バッファー層を用いることにより,NdFeB(001)のエピタキシャル成長に成功した.ただし薄膜の結晶性が不十分なため,引き続きプロセスの改良に努める予定である.このようにして作製したNdFeB薄膜をサブミクロンサイズのドットに微細加工し,異常ホール効果を利用して単一ドットの磁化測定を試みた.その結果,異常ホール効果を利用すれば,単一ドットの磁化挙動を高感度に検出できることを確認することができた.さらに,これまで我々はCo/Pt人工格子ドットなどの磁化ダイナミクスを調べるために,大振幅高速パルス磁場発生技術を構築してきた.しかしその最大磁場は3.5kOe程度にとどまり,NdFeBの磁化には不十分だった.本年度は,さらなる磁場増強を狙い,コンデンサの役割を果たす同軸ケーブルをブルームラインに,そして機械スイッチをアバランシェトランジスタに替えることにより,最大磁場を6kOeにまで高めることに成功した. 次年度は,本年度に築きあげた要素技術をベースに,NdFeB単一粒子の磁化挙動に関する研究を進める予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は,NdFeBエピタキシャル成長の条件出しに手間取り,基板,バッファー層,組成等の最適化にまで至ることができなかった.次年度は,助成金を基にそれらの材料にを幅広く検討し,高品質単結晶薄膜の成長を目指す.さらに次年度研究費と併せ用いて,上記高品質単結晶膜をナノサイズドットに加工して,単一NdFeBドットの静的・動的磁化挙動の研究を進める予定である.
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