研究課題/領域番号 |
24360263
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福永 俊晴 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60142072)
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研究分担者 |
森 一広 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (40362412)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中性子散乱 / 構造解析 / 蓄電池材料 / X線回折 / 伝導特性 / 原子分布 / イオン伝導 / モデリング |
研究概要 |
本研究では、「蓄電池中の伝導原子の位置とその動き、そして母相構造の時間変化」を中性子散乱で明らかにすることを目的としている。本年度は全固体電池を目的とした超イオン伝導ガラス/準安定結晶(Li2S-P2S5系、Na2S-P2S5系、Li2S-P2S5-GeS2系そしてLi3xLa2/3-xTiO3系)の作製とそれらの中性子、X線回折実験を行い、リートベルト解析、PDF解析そしてリバースモンテカルロ法によるモデリングを行い、3次元構造を導出し、多面体解析により移動するLi原子の存在位置ならびに周りの多面体の形、歪みなどの構造変移を時系列で解析する。Na2S-P2S5系とLi2S-P2S5-GeS2系ではその試料作製の困難さから、物性測定まで行い、構造解析までに至っていない。しかし、Li2S-P2S5系とLi3xLa2/3-xTiO3系に関しては回折実験、構造解析そしてモデリングを行い、Liイオンの移動形態や移動経路の解析を詳細に行っている。例えばLi2s-P2s5系のガラスと準安定結晶の伝導度が一桁以上異なっている事を構造学的観点から解明した。すなわち、Liイオンが入っているサイトからLiイオンが移動できるサイト(多面体)を調べ、準安定結晶の方がガラスよりも数量が2倍多いことを明らかにし、世界で初めて構造学的観点からイオン伝導度の違いを明示することに成功した。そして、Li3xLa2/3-xTiO3系ではLiイオンの移動する分布を明らかにした。さらに現在はBVS法を使ってLiイオンの移動分布の視覚化と伝導度との関係を明らかにしようとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に予定通り進んでいる。Liイオンの存在位置の視覚化、そして伝導経路の視覚化の行う解析法も新たに開発し、現在その確認ならびに実際のデータ解析を進めているところである。建設している中性子回折装置(SPICA)も完成に近づいており、今年度の後半にはSPICAを使った実験も開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
全固体電池の開発に向けて、超イオン伝導体のイオンの位置の視覚化ならびに伝導経路の視覚化を中性子散乱、X線回折の実験データを基にしたPDF解析、リバースモンテカルロ法によるモデリング、多面体解析、BVS法によって行う。さらに正極、負極材料でのイオンの位置ならびに伝導経路の視覚化も進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
全固体電池を構成する材料や水素吸蔵材料の作製を行う試料作製装置の購入を最初の年度に行ったので、当該助成金の使用が生じた。 現在その装置を使った試料作製を進めている。これにより物性測定や構造解析を行うための試料作製を順調に行うことが出来、研究をさらに進めることができる。今後の研究費は、物性測定や構造実験・解析を行っていくために使用していく計画である。
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