研究課題/領域番号 |
24360268
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 儀宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50442728)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | セラミックス / ガラス / 光物性 / 蛍光体 / 結晶化ガラス / 希土類フリー / 太陽光発電 |
研究概要 |
これまで申請者は,日中に光エネルギーを貯蓄し,夕方~夜間に残光により太陽電池の発電をアシストする“タイムシフター”を提唱している.発光現象を利用した発電補助には賦形性・大面積化・安価といった特徴を有する材料開発が必須となる.これらを鑑み,平成25年度において推進した研究において得られた主な成果を記す. 1.工業用セラミック材料であり,資源としても豊富に存在するジルコニア(ZrO2)において,既存の希土類添加蓄光材料に匹敵する約10時間の残光現象を320 K(47℃)で発現することを見出した.熱ルミネッセンスおよび電子スピン共鳴分析により,ジルコニアには準安定トラップが2種類存在し,これらは酸素欠陥に由来することを見出した. 2.ピラミッド型TiO5ユニットを有する結晶において,紫外光励起による白色可視発光が報告されている.申請者らはブロードな発光を示すフレスノイト(Ba2TiSi2O8)型結晶のガラス中におけるドメイン形成メカニズムを調査し,高い光学透明性と配向組織はナノメトリック相分離と結晶成長の同時進行による協奏的結果であることを突き止めた. 3.太陽電池に用いられるシリコンの分光感度を有する波長領域をカバー可能な発光材料創製を目的とし,ガラスに異なる波長領域を持つ結晶相を共析出させる試みを行った.MnO2をドープしたLi2O-ZnO2-GeO2系ガラスにおいて,赤色発光を示すLi2Ge4O9相と緑色発光を示すZn2GeO4相の共析出に成功し,明瞭な発光を視認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画としては前駆体ガラスからの秩序形成および電子スピン共鳴による発光・残光に関与する欠陥種の調査がメインであった.前述の研究実績の多くはそれらに準ずるものであると判断できるため.
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今後の研究の推進方策 |
前駆体ガラスおよび発光性結晶相の更なる高機能化をめざし,タイムシフターに好適なマテリアルデザインを行う.また本研究課題で創製した材料を実際に太陽電池に組み合わせ,紫外光領域における発電効率の向上を確認したい.
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