研究課題
本研究は、「一軸圧縮下での表面ナノ修飾基板上固相結晶化による特異な酸化物構造誘起と超機能創出」と題し、独自開発の「ナノ表面加工された基板上」での非晶質薄膜の高温固相結晶化における一軸圧縮応力の適用、という従来報告のないアプローチで新規な酸化物薄膜結晶の創製をめざすものである。従来の結晶性酸化物薄膜の作製では高温に加熱された基板上に結晶性薄膜を直接堆積することが多く、得られる結晶相は高温での熱力学的安定相が主となる。これに対し、本研究では、まず初めに低温で非晶質薄膜を独自に表面ナノパターン加工された基板に堆積した後に、上下から挟み込む様式での一軸圧縮下でのポストアニール処理(加熱)を行って、通常の熱的安定結晶相とは異なる準安定結晶相を析出させる。このような特異な固相結晶化を行うことで、構造および機能面で異方性のある新規な材料創製に導くことを主眼とする。本年度では、酸化バナジウム(VOx)や酸化インジウムに関するこれまでの研究成果をベースにして、さらにVOxエピタキシャル薄膜に関する一軸圧縮下での固相エピタキシャル結晶成長のためのプロセス条件と得られる安定相の間の相関関係を系統的に調べた。1MPa加圧ではエピタキシャルVO2薄膜となり、10~50MPa加圧下ではエピタキシャルV2O3薄膜になるという相選択的な固相成長が達成されたが、これらの要因として、一軸圧縮下アニール時の酸素原子の出入りが重要な役割を果たしていることが示唆された。すなわち、VOx層状構造内での酸素脱離(O2↑)による相変化機構を検討した。さらに、MoOxにおける同様な一軸圧縮固相結晶化挙動を調べ、高圧(10MPa)下でのMoO2[100]優先配向成長の促進とMo低価数化を見出した。また、圧力を上げることにより、高圧(10MPa)下処理では、半導体的挙動から金属的挙動に変化して導電性向上が見出された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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