研究課題
基盤研究(B)
本研究は、研究代表者が見出した、400℃以上の高いキュリー温度と、大きな圧電性を両立する物質の結果を基にしている。正方晶ビスマスペロブスカイト基の新規組成相境界(morphotropic phase boundary, MPB)を持つ材料を基に、鉛およびアルカリ金属フリー材料での大きな圧電性の起源の解明を行うことで、更なる組成探索を行い新規圧電体の創製を行うことを目的とする。具体的には以下の項目について研究を行う。1)更に大きな圧電性発現を目指した新規組成相境界の探索2)電界下の構造解析による大きな圧電性の発現機構解明3)基板からの拘束を排除した物質の本質的な圧電性の解明本年度は、まずLaを添加することによるキュリー温度の低下を試みた。基板からの束縛を排除した研究をまず行うために高圧合成での研究を試みた。その結果、20%以上の大きな歪を有した正方晶を示したBi(Zn_<1/2>Ti_<1/2>)O_3-Bi(Mg_<1/2>Ti_<1/2>)O_3-BiFeO_3系では、Laを添加すると正方晶性を維持することができず斜方晶に変化した。その結果、La置換では歪の小さな正方晶を得ることはできず、キュリー温度の低下が期待できる、歪の小さな正方晶と菱面体晶の組成相境界は得られなかった。一方薄膜合成では、{100}配向したBi(Zn_<1/2>Ti_<1/2>)O_3-Bi(Mg_<1/2>Ti_<1/2>)O_3-BiFeO_3膜を(100)。SrRuO_3//(100)SrTiO_3基板上に作製した。その結果広い組成範囲で6-8%の小さな正方晶相が得られることが明らかになった。この相は高圧合成では得られないことから、膜でのみで得られる可能性があることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
当初の目的を達成するために、高圧合成試料も作製し、結晶相の同定も行った。その結果、基板からの束縛等を排除したデータを得ることができた。
今後膜のデータと高圧合成試料のデータを比較することで、研究を加速していく予定である。
本年度は高圧合成を行ったため、より予算の必要な薄膜合成の研究が相対的に少なかったため、残金が生じた。次年度は、本年度より薄膜の研究も行っていく予定であり、予算は本年の基金化分も含めて使用する予定である。
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