研究実績の概要 |
本研究は、研究代表者が見出した、400℃以上の高いキュリー温度と、大きな圧電性を両立する物質の結果を基にしている。正方晶ビスマスペロブスカイト基の新規組成相境界(morphotropic phase boundary, MPB)を持つ材料を基に、鉛およびアルカリ金属フリー材料での大きな圧電性の起源の解明を行うことで、更なる組成探索を行い新規圧電体の創製を行うことを目的とする。本年度は以下の成果を得た。
本年度は膜面内はランダム配向なものの、面外方向は配向した一軸配向膜の作製を試みた。一軸配向膜は、MEMS等で幅広く利用されているSi基板上へも作製可能なことから、実用の観点からは非常に重要である。(111)cSrRuO3/Pt/TiO2/SiO2をバッファー層としたSi基板に(1-x)Bi(Mg1/2Ti1/2)O3-x Bi(Zn1/2Ti1/2)O3膜の作製を行った。面外方向に(111)単一配向し、面内にはランダムな配向の一軸配向膜の作製に成功した。薄膜の作製方法には、パルスレーザー堆積法(PLD法)を持いた。得られた膜は、約200 pm/Vの比較的大きな圧電性を有し、面内の整列したエピタキシャル膜とほぼ同等の値であった。このことから本研究で見出した組成は、溶液法で作製した一軸配向膜でも大きな圧電性が得られることが確認できた。また、より汎用性の高い溶液法でも製膜を試み、一軸配向膜が作製可能であることを確認した。上記の結果から、本研究急の成果が実用上も有意義であることが確認できた。
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