研究課題
昨年度までに得られた知見を発展させ、(1) 抗電場制御による分極の反転、(2)相境界を利用した高い外場応答性の実現、 (3) マルチフェロイック等の新規機能開拓、 (4) 非線形光学特性の向上を目標とし、新規LiNbO3(LN)型化合物の創製と機能開拓に取り組んできた。昨年度見出したLN型酸化物ZnTiO3は、高圧下でぺロブスカイト相として安定に存在し減圧過程において生成していることが高圧下でのX線回折実験により明らかになった。また、(1) の抗電場制御と (2)の相境界の存在を意識して、高い抗電場をもつLN型LiTaO3にぺロブスカイト型CaMO3(M=Ti, Zr)を固溶することにより分極反転を目指した。その結果、Pb(Zr, Ti)O3に存在するようなモルフォトロピック相境界は見られず、分極反転および高い外場応答の実現は達成できなかったが、CaMO3(M=Ti, Zr)の固溶により絶縁性および誘電率の向上、相転移温度の低下が観測された。さらに、アニオンの複合化が構造や物性に与える影響を調べるためにLN型酸化窒化物の研究に取り組んだ。原料および合成条件を種種検討し、LN型酸化窒化物MnTaO2NおよびMn4Ta2O9との固溶体の高圧合成を行い、その相関係について調べた。その結果、圧力・温度条件により、陽イオン組成が異なるLN相が生成していることが明らかになった。また、昨年度見出した強誘電体CaMnTi2O6と同構造をもつ化合物について高圧合成による探索を行い、新規化合物を見出した。この化合物は、光第二高調波発生から反転中心をもたないことが確認された。これらの研究については現在も継続中である。そして、これまで得られた実験結果から、LN型化合物ABX3の極性は、LN型構造におけるAおよびBイオンの配列の幾何学とA-B間の陽イオン間反発に基づくこと、またTi4+、Nb5+、Ta5+等のd0電子をもつイオンを含む場合、二次ヤーンテラー効果によりその極性が強化されることが明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Phys. Chem. Minerals
巻: in press ページ: in press
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