OTN-NIRバイオイメージングは、生体の深部を観察可能な次世代の生体イメージング技術として申請者らが独自に世界に先駆けて開発を進めている技術である。本研究ではそのための蛍光プローブである希土類含有セラミックスナノ粒子について、粒径と発光強度、マウス体内挙動の系統的な関係の解明を行うことを目的として研究を行った。まず、希土類含有イットリアナノ粒子を均一粒径で作成し、ナノ粒子1個当たりの蛍光強度を測定することにより、蛍光強度は粒径の3乗に比例することが明らかになった。蛍光観察に用いた1550nmよりはるかに小さいこれらのナノ粒子では、励起光蛍光ともに完全に資料を吸収を伴いつつ透過し、また光散乱の影響を受けないため、希土類イオンの個数に比例する量、ひいては体積に比例する量である粒径の3乗に比例して蛍光強度が変化したと考えられる。さらに詳細な解析を行ったところ、表面には大気保管時に不動態相でありながら蛍光を示さない5nm程度の炭酸水酸化物層が形成されていることがわかった。 一方、粒径制御した近赤外発光セラミックスナノ粒子に単分散維持のため良好な立体反発を期待できるPEGを就職した粒子を静脈注射し、OTN-NIR in vivoイメージングにより観察を行ったところ、60nmの単分散粒子は24時間以上細網内皮系に捕獲されることなく血中を滞留し続けるのに対し、100 nm以上の場合は約15秒程度で肝臓や脾臓に捕獲されることが明らかになった。また、一部の粒子では15分程度は良好に血中を滞留するものの、約1時間程度で細網内皮系への捕獲が始まるものがあることがわかった。したがって、血中投与する前だけでなく、粒子の表面修飾については投与後の挙動も追跡することが重要であり、血中成分にされされても離脱することのない高分子の就職方法の確立が重要であることが示唆された。
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