研究課題/領域番号 |
24360283
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 茂 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40143028)
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研究分担者 |
福富 洋志 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90142265)
今福 宗行 東京都市大学, 工学部, 教授 (00183012)
佐藤 成男 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40509056)
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10311549)
藤枝 俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 構造・機能材料 / せん断変形 / 不均一変形 / 結晶回折 / 双晶変形 |
研究概要 |
昨年度の研究において、双晶誘起塑性を示す多結晶のFe-Mn-C合金(TWIP合金)を引張り変形させた後、大型放射光施設で白色X線マイクロビーム回折実験を行った。具体的には、まず、白色X線マイクロビームを操作して得た多結晶TWIP合金の透過ラウエパターンを解析することにより粒界イメージを得た。その後、結晶粒界や結晶方位の情報に基づいて選定した任意の位置におけるラウエパターンの回折スポットにおいて、エネルギースペクトルを測定して引張変形による幾つかの格子面変化を評価することにより、引張り変形による残留応力の分布を評価した。本年度は、多結晶TWIP合金に引張り応力を印加した状態で上述の白色X線マイクロビーム回折実験を行った結果を解析し、応力分布を調べた。また、電子後方散乱回折法により、結晶粒界および結晶方位の観察を行い、結晶粒の形状および各結晶粒の引張り方向のヤング率を考慮して本多結晶TWIP合金を模したモデルに対し、有限要素法による応力分布のシミュレーションも行った。その結果、引張り応力を印加した状態では、多くの結晶粒において、引張り方向とほぼ平行に主応力方向が観測された。この実験結果と定性的に対応した結果は、有限要素法によるシミュレーションにおいても得られた。しかし、一部の結晶粒における主応力方向は、引張り方向と大きく異なる方向であった。すべり変形により弾性応力が解放されていることが推察される結果が観測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
大型放射光施設での白色X線マイクロビーム回折実験による応力分布の評価結果と有限要素法による応力分布のシュミレーション結果を関係づけて解析することが出来た。次年度以降に大きな発展が期待できる成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
多結晶Fe-Mn-C合金において双晶変形が起こる条件を明らかにするために、大型放射光施設での白色X線マイクロビーム回折実験および有限要素法によるシミュレーションの結果について包括的に検討し、双晶変形誘起塑性の発現機構について考察を進める。また、Fe-Mn-Si系合金においては引張り方向が<011>近くの方位に集積度が高い合金でマルテンサイト変態が起こりやすいと予測される。このような集合組織が得られるFe-Mn-Si合金の高温プロセスの条件を明らかにし、それらの知見をもとに形状回復率が大きい多結晶合金を作製する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進した事に伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせて、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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