研究実績の概要 |
粘土土壌の主成分である層状珪酸塩の1例としてバーミキュライトを選択した。 バーミキュライトは2:1型層状珪酸塩鉱物として知られており、入手が容易であると共に国内に存在する基本的な粘土化合物である。実験室的なシミュラント粘土質土壌とした。CsはICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析用の標準試料を用い、バーミキュライトに導入した。実験試料に関しては良好な実験系を構築する事ができた。 バーミキュライトは層間に水を含んでおり、TG-DTA測定によると700℃以上においても完全に除去できない事が分かった。誘電挙動には含有イオンとの間に深い相関関係があると考えられる。 バーミキュライトをCs溶液(例えば1000ppb)に浸漬し、撹拌すると5分以下で十分吸着される事が分かり、吸着したものを再度水に投入してもCsは溶出しない事がICP-MS分析により判明した。 マイクロ波照射は、5.8GHzのシングルモード装置を用いて行った。バーミキュライトの珪酸塩層には鉄が含まれている事もあり、マイクロ波印加により1000℃以上に加熱を行える事が分かった。しかしながらマイクロ波照射による水分の蒸発だけではCsの除去は十分ではない事が判明した。このため、カチオンを置換してCsを除去する事を考えた。Ca,Kの塩化物や炭酸塩などの添加によりマイクロ波で加熱する事によりCsの置換が進行する事が分かった。電気炉加熱に比較し有効である事が確かめられた。本プロセスにおいては水を添加していないが、層間水との関連においてそのメカニズムが解明されるべきであろうと考えられる。 本研究においては、バーミキュライト及び種々の塩を添加した資料の誘電率や導電率等の物性測定を行ない、マイクロ波加熱特性やイオン置換反応との関連性について調べた.
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