本研究では、発泡アルミニウムの緻密層や気孔率・気孔サイズの分布を適材適所に変化させた、傾斜気孔構造を形成する基礎技術の確立を目指している。そのために、緻密な表面硬質層と内部の気孔サイズが連続的に変化する傾斜気孔構造を形成する、あるいは竹の節構造のように部分的緻密構造を形成するための新規技術の開発と技術課題の解明を目的とした。最終年度として、過去2年間に得られた成果や課題を基に、以下の2項目の研究をを継続実施して成果を得た。 (1)発泡アルミニウムの部分加圧圧縮による気孔構造の変化と節構造の形成:表面に緻密層(スキン層)を持つ発泡アルミニウムやポーラス積層サンドイッチ板を、部分的に加圧成形して緻密化する方法によって、様々に節構造を形成する技術について、ポーラス材料の変形挙動など基礎的検討を実施した。そして、加工温度、金型形状、試料寸法の諸条件がポーラス板の変形挙動や金型形状の転写性に及ぼす影響を解明した。その結果、ポーラス積層サンドイッチ板を室温でプレス加工して、適材適所に緻密部分を形成した構造用部材の成形加工が極めて有用であることを実証した。 (2)発泡アルミニウムサンドイッチ板の製造における気孔形成の制御:発泡アルミニウムと緻密金属表層とのサンドイッチ板を製造する方法として、発泡プリカーサ(発泡前駆体)と金属板を予め圧延接合した後に加熱発泡する技術について検討した。特に、圧延加工を受けたプリカーサの発泡特性が未圧延の場合より劣化する課題について、プリカーサの発泡特性に対する圧延加工条件の影響を検討した。その結果、ある程度以上の圧下率によってひずみの蓄積を受けた状態で加熱発泡すると、合金元素のSiが元の粉末粒界に優先して偏析し、共晶融解による気孔が亀裂上に生成するため、その後の発泡助剤の分解に悪影響を与えていることが解明された。
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