研究課題/領域番号 |
24360298
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
幅崎 浩樹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50208568)
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研究分担者 |
青木 芳尚 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50360475)
辻 悦司 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80610443)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アノード酸化 / プロトン伝導体 / 中温燃料電池 / 水素透過 |
研究概要 |
代表者らが見出した300℃以下で高いプロトン伝導性ZrO2-WO3およびZrO2-WO3-SiO2アノード酸化ナノ薄膜を固体電解質とし,中温域で高出力な燃料電池を改札することを目的として,水素透過膜をアノードとする膜・電極接合体の作製を今年度主に行った。 水素透過膜アノードとしてPd箔を用いたが,これにマグネトロンスパッタ法を用いてZr-W合金を成膜した場合,合金膜の欠陥部を通してPd表面へアノード酸化電解液が浸透するために,アノード酸化時にガス発生が起こり,均一なアノード酸化ZrO2-WO3ナノ薄膜を形成することができない。そのため,アノード酸化可能で水素透過能を有するNb-Zr-Ni合金をPdに成膜してからZr-W合金をマグネトロンスパッタ成膜した。その結果,均一なZrO2-WO3ナノ薄膜を高い電流効率で生成することが可能となった。 Pd/Nb-Zr-Ni上のZrO2-WO3ナノ薄膜は以前報告しているガラス基板/Zr-W合金上のZrO2-WO3ナノ薄膜と同等の高いプロトン伝導性を示すことを確認した。しかしながら,Zr-W合金を完全にアノード酸化し,さらに下地のNb-Zr-Ni合金までも一部アノード酸化するとプロトン伝導性は大幅に低下した。Nb-Zr-Ni合金のアノード酸化膜のプロトン伝導性が低いためである。 一方,Pd箔,Pd/Nb-Zr-NiおよびPd/Zr-Wの水素透過性を調べた結果,Pd/Nb-Zr-NiはPd箔と同等の高い水素透過性を示したのに対し,Pd/Zr-Wの水素透過性は劣ることが明らかとなった。膜・電極接合体を作製する場合には,Zr-W合金の残存を避ける必要があることが示唆された。Pd/Nb-Zr-Ni/ZrO2-WO3/Ptの膜・電極接合体を作製し,水素-酸素燃料電池特性を評価したところ,室温においても起電力の発現に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素透過膜上にアノード酸化法によって均一な固体電解質膜を作製する方法が確立でき,電流は小さいものの発電にも成功したことから,研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
室温での起電力の発生と発電には成功したものの,温度上昇とともに起電力,出力とも低下する傾向を示した。その原因を究明し,高出力な膜・電極接合体の設計指針を確立するための研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ターゲットを含む現有の物品類を有効利用することができ,物品費の購入費用を抑制することができたため,次年度使用に回すことができた。 燃料電池の出力および起電力を上げるための電極/電解質界面の構築研究を重点的に行う必要が生じている。この電極材料および電極を作製するための試薬や物品費の購入に利用する。
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