研究課題/領域番号 |
24360308
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平藤 哲司 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (70208833)
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研究分担者 |
土井 俊哉 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (30315395)
三宅 正男 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (60361648)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | めっき / 表面・界面制御 / 添加剤 / 電気化学 |
研究概要 |
金属薄膜の製膜法として電析法には多くのメリットがあるが、アルミニウム(Al)については、水溶液から電析できないため、電析法によるコーティング技術は十分に確立されていない。有機溶媒のジメチルスルホンを電析浴に用いることで、Alを電析することができるが、従来のジメチルスルホン-AlCl_3単純浴から得られるAl電析膜は無光沢である。平滑な表面を有し、金属光沢を呈するAl膜が電析可能となれば、Al電析の用途の拡大が期待できる。そこで、本研究は、ジメチルスルホン浴に微量成分を添加することで、金属光沢を有するAl膜を電析する技術の確立を目的とした。 電析実験により、浴にテトラエチレンペンタミンを添加すると、電析Al膜が光沢化することを発見した。さらに、分子量の異なるポリエチレンアミン類(NH_2[(CH_2)_2NH]_nH, n=1~5)を浴に添加し、これらの光沢剤としての効果をハルセル試験によって検証した。その結果、各ポリエチレンアミンを添加した場合の最適な添加濃度および電流密度を見積もることができ、n=3のトリエチレンテトラミンを浴に添加した場合に、最も広い電流密度範囲で光沢を有するAl膜が電析されることが明らかとなった。無光沢のAl膜は、平均粒径5μm程度のランダム配向した結晶粒からなる一方で、光沢を有するAl膜は、<100>優先配向した平均粒径20nm程度の微細な結晶粒からなることを明らかとした。また、オクチルアミンおよびジヘキシルアミンには、本系において光沢剤としての効果がないことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ハルセル試験の適用により、ポリエチレンアミン類の光沢剤としての効果を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究によって、有機溶媒からのAl電析におけるハルセル試験法を確立することができ、一度の試験で幅広い電流密度範囲の電析状態を評価することが可能となった。今後もこの試験法を利用し、さらに多くの添加剤の効果の検証を行う。また、浴に微量に含まれる水分の影響も調べる予定である。
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