研究課題/領域番号 |
24360308
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平藤 哲司 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (70208833)
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研究分担者 |
土井 俊哉 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (30315395)
三宅 正男 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (60361648)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | めっき / 表面・界面制御 / 添加剤 / 電気化学 |
研究概要 |
アルミニウム (Al) の低コスト製膜法として、非水溶媒を用いた室温付近での電析法が注目されている。非水溶媒浴中に水分が混入すると、Al 電析に対して様々な悪影響をもたらすことが知られているが、浴中の水分濃度とその影響についての詳細な関係は不明であった。これを明確にすることは、Al 電析膜の品質管理の観点から重要であり、Al 電析プロセスを工業化するために必要不可欠である。そこで、浴中の水分が Al 電析に及ぼす影響を明らかにするため、水分を意図的に添加した DMSO2 浴から電析を行い、電析膜の外観、微細構造、電流効率および不純物濃度についての分析を行った。また、アルゴン雰囲気中で加熱・保持した浴の水分濃度の時間変化を測定するとともに、その Al 電析への影響を調べた。 浴中の水分濃度の増加に伴い、電析膜表面の黒色化および大小のピンホールの形成、密着性の低下、および電流効率の低下が生じた。水分濃度の増加とともに水素発生反応量が増大し、Al 析出反応と競合したためと考えられる。 水分を添加した浴をグローブボックス内で加熱・保持すると、カールフィッシャー水分計による浴中水分濃度の測定値は、加熱時間の経過とともに低下した。また、加熱・保持時間の経過とともに、Al 電析の電流効率が向上し、均一な表面の電析膜が得られることが明らかとなった。 以上の結果から、高い電流効率で、均一な表面を持つ高純度の Al 電析膜を得るためには、浴中の水分濃度は可能な限り低く保つことが望ましいと言える。しかし、浴に水分が混入しても、浴を不活性雰囲気中で加熱・保持することにより、浴中のプロトン源が除去され、再び高い電流効率で均一な Al 膜の電析が可能となることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、浴中の微量成分である水分が、Al 電析膜の不純物濃度に及ぼす影響を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、単一の微量成分を添加した場合について、その効果の検証を行ってきたが、今後は、複数の微量成分の相互作用について検討を行う。また、シミュレーションによって、添加剤の電極表面への吸着状態の評価を行うことで、添加剤の効果発現の機構の解明を目指す。
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