H26年度は,「射出成形時の木質素材の流動に及ぼす前処理および熱履歴の影響」を解明するために「射出成形性評価システムの構築」および「前処理・熱履歴の影響評価」を行った.まず金型表面状態が流動難易度に及ぼす影響について調査を行った.切削および放電加工によって作製された模擬金型について流動難易度を評価した結果,主に粉末粒度が大きい場合に表面粗さの増加とともに流動しににくくなることがわかった.一方,粒度が小さい場合は表面粗さによる影響はあまりに見られなかった.さらに蒸煮処理を施した竹粉末に関して熱水抽出処理を施すことで,熱水抽出成分の影響について調査をした.研究結果から,熱水抽出処理をすることによって蒸煮竹粉末の流動性が大きく低下したことから,熱水抽出成分が蒸煮竹粉末の流動性を高める作用をしていることがわかった.また,TGを用いた分析から,熱水抽出した試料では揮発成分が減少していたことから,流動試験時に揮発する成分は主に水溶性成分であることがわかった.これらのことから,蒸煮竹粉の流動性には,揮発性成分量とその成形中の変性の程度が大きく影響することが明らかとなった. 次に「高強度化と柔軟化によるWPCの耐衝撃性向上」を目的として,「繊維強化によるWPCの高強度化と耐衝撃性」および「柔軟プラスチックの利用によるWPCの柔軟化と耐衝撃性」について調査を行った.スギのバーク繊維100%の成形体の耐衝撃性を評価した.また,竹蒸煮粉末の圧粉成形体を加熱して熱間鍛造を行うことができるシステムを構築した.さらに柔軟プラスチックとしてPEを用いて,スギバークと混合したペレット(PE10%)を作製し,圧粉成形によって作製した成形体の耐衝撃性を調査した.結果として,10%のPE混合でおよそ2倍程度まで耐衝撃性が向上することが確認できた.また,PE混合WPCに及ぼす相溶化剤の影響についても検討を行った.
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